半月板損傷と膝蓋骨骨折の手術に続いて外反母趾の痛みまでも

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お一人の知的な女性の方がご来院されました。非常に責任の重いお仕事に就かれ、体力的にも大変であると思われました。お話をお伺いするとこの2年半はこの方にとっては試練の年であったかのようです。両ヒザのトラブルがマラソンのエキスパートでもあるこの方を襲います。

1.試練の2年半

まずはこの方がお話し下さったこの2年半の経緯を記してみます。

2014年10月

  • マラソンの練習中(40km)に、左ヒザがガクンとなる。何とか走り切ったが、走り終えた後で左ヒザの痛みで歩けなくなる。
  • 翌々日に整形外科病院を訪れ、MRIを撮ってもらい半月板が損傷している可能性を指摘される。とりあえず痛み止めで1週間様子を見ることにした。
  • 1週間後、歩くことはできても痛みは取れず、走ることはまったくできない。
  • 別の整形外科病院でMRI画像を診てもらって、外側半月板が断裂していることを指摘される。

2014年11月

  • 左膝の手術を受ける。その後しばらく休息を取る。

2015年2月

  • 再びマラソンを始める。
  • すると左膝に水が溜まるようになる。その水を抜いても2週間くらいで再び溜まる。

2015年4~5月

  • マラソンを控える。

2015年6月

  • 再度走り始める。左膝が悪化することなく9月までは走ることができた。

2015年10月

  • 左膝に我慢できないような激しい痛みが起こり、再び走れなくなる。日常生活でもやっと歩けるような状態であった。
  • 整形外科病院で検査してもらうと、左ヒザの半月板を除去した部分の軟骨が上下(大腿骨だいたいこつ側と脛骨けいこつ側)ともにめくれて骨同士が擦れ合い、かつ散らばった軟骨が原因となって痛みが出ていることを告げられる。

2015年11月

  • 左ヒザの痛みは収まっていたが、散らばっていた軟骨を手術によって取り除いてもらう。
  • このとき3か月間は日常の最低限の歩行以外は禁止される。

2016年1月

  • 通常の歩行中に転倒し、右の膝蓋骨しつがいこつ(右ヒザのお皿の骨)を骨折し、ギプス固定をしてもらう。

2016年4月

  • 歩くことはできるが右ヒザの痛みで走ることはできない。
  • 整形外科医院でMRI検査してもらうと、右ヒザはすでに完治していると言われる。しかし階段の上り下りもできない状態であった。
  • 別の整形外科病院でMRI写真を見てもらうと、右ヒザの半月板も損傷していることを告げられる。

2016年7月

  • 右ヒザの半月板の手術を受ける。同時に左膝の内視鏡検査を受けるが、左ヒザは軟骨移植をせずにこのまま様子を見ることを勧められた。

2016年10月

  • マラソンに復帰。左ヒザの痛みはなく、右ヒザにたまに痛みが出るが走ることはできる。
  • 職場の近所の整骨院で施術を受け、右ヒザに痛みが出ても2日休むと走れるようになる。
  • ところが1か月後から外反母趾になっている左足の親指の付け根に痛みが出るようになり、それに続いて左ヒザにも再び痛みが出るようになった。

いかがでしょうか。このような状況においても(療養中は除いて)この方はハードな仕事を続けられていたのです。普通の人だったら仕事などどうでもいいと思ってしまうでしょう。使命感がなければ続けられるものではありません。すばらしいと思います。

 

2.足のゆがみの観察

うつ伏せの状態になっていただいて、足の構造を観察しました。

この方の足の前半分(前足部)は足の後ろ半分(後足部)に対して、左右ともに内側が少し上がっているタイプです。また同時に下腿部(ヒザから足首まで)に対して、足の後ろ半分が内側に曲がっているのタイプです。

足の変形

スネに対してカカトが内側に倒れ、カカトに対して前足部の内側が上がっている。

この2つのゆがみを持つ足は歩行時にいろいろなトラブルを起こしやすい足です。
着地するときにカカトが内側に倒れやすく、さらに足裏全体を地面に着けるときにも足が内側に大きく倒れるからです。

過回内

足の変形が過回内(オーバープロネーション)を起こす。(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p9)

足が内側に倒れ過ぎる人の歩き方に関しては「外反母趾の人が正しい歩き方ができない唯一の理由とは何か?」で述べました。このような足の人は「硬い足」と「柔らかい足」の切り替えがうまくいかず、いつも「柔らかい足」の状態のままなのです。

「柔らかい足」の状態が続くと、スネ(下腿部)が内側に捻じれた状態に維持されていることになります。反対の足が前に行くと、骨盤は反対側に捻じれ、それとともにフトモモは外側に捻じれます。

本来ならばフトモモが外側に捻じれると、スネも外側に捻じれるのですが、この方の足はスネが外側に捻じれません。するとスネとフトモモが反対方向に捻じれることになり、ヒザに大きなストレスがかかります。そしてヒザを支えているスジ(靭帯)やヒザを包む袋(関節包)がゆるんできて炎症を起こしたりします。

3.足の甲側の観察

足を甲の方向から観察してみましょう。すぐに気がつくことは左右ともに浮き指になっているということです。これが何を意味するのでしょうか。

この方は足が常に内側に倒れています。本来、カカトへの衝撃を吸収するために足は「硬い足」の状態から「柔らかい足」の状態に移るのですが、この方は「硬い足」にはなりにくいので、この方法では衝撃を吸収できません。

ではどうするのでしょうか。2つの方法があります。ひとつは歩幅を小さくする方法。もう一つは足首を十分に反らしてからカカトを地面に着ける方法です。後者はスネにある筋肉(前脛骨筋ぜんけいこつきん)を使って衝撃を吸収する方法です。

2つの方法があるとは言っても、この方はジョギングやマラソンをするため、前者の方法は使えませんので、必然的に後者の方法を使うことになります。この方法を続けると前脛骨筋ぜんけいこつきんが通常以上に使われて弱ってきます。

するとやはりスネにある別の2つの筋肉がこの前脛骨筋ぜんけいこつきんをサポートします。その2つとは長指伸筋ちょうししんきん長母指伸筋ちょうぼししんきんです。長指伸筋は本来は第2~5指を反らす筋肉で、長母指伸筋は本来は第1指(母趾)を反らす筋肉です。これらは同時に足首を反らす作用も持つため、前脛骨筋ぜんけいこつきんの弱った力を補うのです。その結果、下の写真のように足の指が反り返って、浮き指状態になります。

ハイアーチの浮き指

浮き指が見られる。

 

足関節の伸筋群

(カパンディ 関節生理学 Ⅱ.下肢 原著第5版.医歯薬出版株式会社,1997,p205)(一部改変)

4.硬いフクラハギ

さらにマイナスポイントとして、この方のフクラハギの筋肉がとても硬いことが挙げられます。足裏全体を地面につけた状態でしゃがむことができません。それを行おうとすると後ろにひっくり返ります。

フクラハギが硬いと足首が反りにくくなります。すると「3.足の甲の観察」で述べた前脛骨筋ぜんけいこつきんがますます働かされ過ぎて疲労するのです。その結果、浮き指が進みます。

またフクラハギが硬い場合には、歩くときや走るときに縦アーチを低下させるか、早い時期にカカトを持ち上げようとします。この方はゆっくり走るときには外反母趾の部分が痛く、早く走るときには痛くないと仰っています。

このタイプの足は縦アーチが低下すると横アーチも低下しやすく、結果的に親指の付け根がクツに当たりやすくなりますので、ゆっくり走るときには痛みが出やすいのであると思われます。また速く走るときにはカカトをあまり地面につけないので、アーチは低下しません。その結果として痛みが出ないのでしょう。

 

5.その他の症状

5-1.スネの筋肉の筋痛症

上で述べたように、足が硬い状態にならないことと、足がフクラハギの筋肉が硬いことによってスネの筋肉(前脛骨筋ぜんけいこつきん)に負担がかかり、この筋肉が筋筋膜性疼痛症候群きんきんまくせいとうつうしょうこうぐんを起こします。

この筋肉の痛みは足首の前面から親指の背面にかけて痛みを出します(痛みの出る範囲は個人差があります)。この方の場合、左スネの筋肉を刺激すると左親指の付け根の内側がピリピリと感じるということを仰っていましたが、この筋肉の筋筋膜性疼痛症候群きんきんまくせいとうつうしょうこうぐんによるものです。

前脛骨筋ぜんけいこつきん痛みの出る場所を示しておきます。

 

5-2.左右の親指の内側面のタコ

左右の母趾の内側面にタコがあります。
走ったりするときに足全体が内側に倒れ過ぎると、第1中足骨ちゅうそっこつが地面に固定されなくなります。
すると体重は第2指の付け根に移動し、そのまま親指を抜けていくためにこの部分にタコができます。

胼胝

親指の内側面にできたタコ

 

足圧中心の軌跡の変化

足圧中心の軌跡の変化。左は正常。

5-3.左親指が反りにくい

左母趾が反りにくい傾向があります。つまり制限母趾せいげんぼし強剛母趾きょうごうぼしの軽いもの)の傾向があるのです。
これは足全体が内側に倒れ過ぎたときに、第1中足骨が④~⑥の3つの方向に大きく動かされるのですが、
この3つの動きのうち、④の動きが大きいと親指の付け根にある2つの骨が衝突しやすくなります。
その結果、親指が反りにくくなります。

強剛母趾きょうごうぼしに関しては「親指が反らなくなり、蹴るときに痛みが出る強剛母趾の治し方」で詳しく解説しています。

過回内と骨の異常な動き

過回内カカトが倒れるとその動きは足先の方に伝わる。

 

制限母趾

親指の付け根で2つの骨が衝突する

 

5-4.フトモモの前の筋肉が硬い

正座しようとすると左フトモモの前面の筋肉がつっぱって正座しづらいようです。
これは足全体が内側に倒れ過ぎたときに、スネの骨は内側に大きく回転します。
するとヒザが内側に入ってきます。

フトモモの前にある大腿四頭筋だいたいしとうきんはそれ自身が伸ばされながら収縮して、ヒザにブレーキをかける作用を持つのですが、ヒザが内側に入り過ぎるとこの筋肉にストレスがかかり、血行不良が起こって痛みを出したり、硬くなったりします。もちろん筋力も弱ります。

またフクラハギの筋肉が硬いため、地面を蹴る力が弱くなっています。
ヒザを伸ばすと、フクラハギの筋肉が多少働きやすくなりますので、フトモモの筋肉はヒザを伸ばそうとして、一層酷使されます。

 

5-5.フトモモの後ろの外側の筋肉が硬い

フトモモの前の筋肉が硬いため、ヒザを曲げる筋肉である、フトモモの後ろの筋肉に負担がかかって硬くなります。
これが硬くなると今度はヒザを伸ばす、フトモモの前の筋肉に負担がかかるという悪循環に陥ります。

 

6.行うべきこと

早急に通勤用、仕事用、プライベート用のクツの構造を見直すことが大事です。

ウォーキングシューズ

ニューバランスのウォーキングシューズ

症状が落ち着くまでは左ヒザをサラシで固定しておくのがよいです。同時に硬くなった筋肉のマッサージとストレッチを入念に行わなければいけません。また、決して筋肉を鍛えようとしてはいけません。筋肉が弱っているのは、使われ過ぎた結果です。トレーニングするとますます硬くなって弱ります。

しかしいつまでもサラシで固定し続けるのも問題です。ヒザでの捻じれのストレスを避けるためにサラシを巻いているのですが、長期にわたると血行の問題も出てきます。またサラシでヒザへのストレスを少なくしたとしても、足の捻じれの影響は他の部分、たとえば足首、スネ、腰に出てきます。モグラ叩きのようなものです。

根本的に足の捻じれの影響をなくすために、クツの中に足底板を入れるのが最重要ポイントです。最後に書いたもののこれを一番に行わなくてはいけません。

足底板の挿入

足底板をクツに装着する。

家の中では足底板が使えませんので、米国の足病医が開発した特殊なサンダルをお勧めします。

特殊なサンダル

特殊なサンダル

靴の選び方は「外反母趾の人生をバラ色にするシューズ選びの3つのポイント
足底板については「外反母趾の痛みを劇的に改善するクツの中敷き(インソール)
に詳細が書かれています。

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治療家も真っ青!超短期間で痛みを1/10にする方法

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足や膝や腰のトラブルに関しては

さまざまな施術方法が存在します。

 

しかし欧米で研究が進んでいる「足病学」の理論に基づいた施術方法は

まだ一般的には知られていません。

 

私たちの身体の構造は多くは遺伝によって

両親から引き継いでいます。

足の構造も両親のどちらかから引き継いでいるのです。

 

足に異常な構造があると、それは足の異常な動きを生みだし、

さらにスネ、膝、フトモモ、骨盤、背骨に異常な動きを発生します。

 

その異常な動きは

シンスプリント、変形性膝関節症、変形性股関節症、坐骨神経痛、

腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症、腰痛、

頸の痛み、猫背、ストレートネックなど

さまざまなトラブルを引き起こすのです。

 

これらの疾患から来た痛みを改善するのには

まずは足の異常な構造を足底板(そくていばん)によって補正し、

足の正しい動きを作ってやらなければなりません。

 

そして身体の動きを正常に近づけた上で、

痛みを出している部分(ほとんどは筋肉です)の施術を行います。

 

欧米では足底板はごく一般的に使用されていますが、

日本ではあまり一般には知られていません。

 

あなたも足病学に基づく施術を受け、

一日も早く、身体のトラブルを改善させてください。


一日も早く身体の痛みを解消したい方はこちらへ

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