子どもの踵骨骨端症のバイオメカニクス的考察とその対処方法

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子どもに起こるカカトの病気に踵骨骨端症があります。この病気は初めて発表した医師の名前を採って、シーバー病とも呼ばれます。男の子に多く、とくに運動をしているときに痛みが強くなります。カカトを内側と外側から挟んで圧迫すると痛みが出ます。
この病気の発生するメカニズムと対処法を記しておきました。

1.踵骨骨端症とは

踵骨骨端症しょうこつこったんしょう踵骨骨端炎しょうこつこったんえん)はアメリカの足病外科医のジェームズ・ウォーレン・シーバーが1912年に発表したため、シーバー病(セーバー病)ともいわれます。

子どもに起こるカカトの痛みで、その痛みはアキレス腱が踵骨しょうこつ(カカトの骨)につく部分(後面)やカカトの裏面に出ます。

痛みは歩いたり、走ったり、ジャンプしたりすると悪化し、スポーツをしているときに痛みが強くなって中断せざるを得ない場合もあります。女の子よりも男の子に多く起こります。

カカトの腫脹や発赤は見られることも見られないこともあります。またレントゲン写真を撮ると踵骨しょうこつ骨端核こったんかく硬化像こうかぞう分節像ぶんせつぞうが見られますが、これらが見られても症状がない場合もあります。この骨端核は男子で7~8才、女子では6~7才から出現し、15~17才で踵骨しょうこつの体部と癒合します。

踵骨しょうこつ骨端軟骨こったんなんこつの部分を内側と外側からはさんで圧迫すると痛みが出ます。痛みは夜よりも朝にあり、軽度の運動で軽くなりますが、運動量が増えると逆に痛みが強くなります。半分以上の患者が両足に起こします。

スポーツを継続して行っているときよりも、新しいスポーツを始めたときや長期の休暇ののちにスポーツを行ったときに出る傾向があります。

距骨下関節きょこつかかんせつ過回内かかいないを起こす子どもに起こりやすいようです。

2.踵骨骨端症の原因

アキレス腱にかかる張力が大きすぎるのが原因と考えられます。

思春期の筋肉や腱と骨の成長速度が違う時期に起こります。フクラハギの筋肉(腓腹筋ひふくきんやヒラメ筋)よりも骨(脛骨けいこつ腓骨ひこつ踵骨しょうこつ)の成長が早いと筋肉(腓腹筋ひふくきんやヒラメ筋)およびアキレス腱により強い張力が生じます。

下腿三頭筋

下腿三頭筋(トリガーポイント・マニュアル-筋膜痛と機能障害Ⅳ, エンタープライズ株式会社, 1997, p52、一部改変)

スポーツで走ったり、ジャンプしたりするとアキレス腱にかかる張力が大きくなります。とくに距骨下関節きょこつかかんせつ過回内かかいないが起こる足の場合には、この関節の回外作用(外側に回す作用)を持つ腓腹筋ひふくきんやヒラメ筋が正常な人の場合以上に使われるため、これらの筋肉およびアキレス腱に負担がかかります。

過回内

足の変形が過回内(オーバープロネーション)を起こす。(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p9)

逆に前足部外反ぜんそくぶがいはん(足の前半分の外側が上がっている状態)というタイプからくるハイアーチの場合には、カカトが地面に着いたときに距骨下関節きょこつかかんせつが回外方向に動き、アキレス腱が歩行のたびに外側に引っ張られるので腓腹筋ひふくきん・ヒラメ筋およびアキレス腱に負担がかかります。

硬直性前足部外反

カカトの骨は外側に倒れ、足はハイアーチになる。

アキレス腱にかかる張力が大きすぎると骨端核こったんかくが上方に引っ張られて、分節化されてしまいます。しかしこのことが痛みの原因なのでしょうか。骨端核こったんかくの硬化像や分節像が見られても症状がない場合もあるということは、痛みの原因は別にあるのかもしれません。

筋筋膜性疼痛症候群きんきんまくせいとうつうしょうこうぐんの研究で有名な、加茂整形外科医院の加茂淳先生はそのホームページに「構造と痛みは別問題です」とお書きになっています。もしかしたらこの踵骨骨端症しょうこつこったんしょうの痛みの正体はアキレス腱につながる腓腹筋ひふくきんやヒラメ筋の筋筋膜性疼痛症候群きんきんまくせいとうつうしょうこうぐんの痛みなのかもしれません。

そこでヒラメ筋の関連痛パターンを調べてみました。下記のリンク先の図をご覧になってください。ヒラメ筋の筋筋膜性疼痛症候群きんきんまくせいとうつうしょうこうぐんはカカトに痛みを出すことが分かります。

ヒラメ筋からの痛みが出る部位

踵骨骨端症しょうこつこったんしょうの痛みがヒラメ筋の筋筋膜性疼痛症候群せいとうつうしょうこうぐんの痛みであるとは言い切れませんが、ヒラメ筋の筋筋膜性疼痛症候群せいとうつうしょうこうぐんの痛みが踵骨骨端症しょうこつこったんしょうの痛みとして扱われている場合があるかもしれないということは十分に考えられます。

3.踵骨骨端症対策

3-1.靴の選択

足の捻じれの影響を少なくし、踵骨しょうこつを安定化させるために構造的にすぐれた靴を選ぶことから始めましょう。

構造的に優れた靴

構造的に優れた靴

 

3-2.足底板

次に扁平足タイプの足の場合には距骨下関節きょこつかかんせつ過回内かかいないが起こらないように足底板そくていばんを入れるのがよいです。

ハイアーチタイプの足の場合にはかかとに衝撃がかかりやすいので、クッション作用のある素材でカカトを保護する方法もありますが、やはり着地時に距骨下関節きょこつかかんせつが回外方向に動かないように足底板を入れるのがよいと思います。

どちらのタイプの足でもない場合にはカカトを少し上げるとアキレス腱にかかる負担が少なくなります。

スポーツをやっているこどもはスポーツ用の靴もしっかりした構造のものを選び、その中に足底板を入れておくのがよいでしょう。

足底板の挿入

完成した足底板をクツに装着する。

 

3-3.特殊サンダル

家の中でカカトを安定させるアメリカの足病医が開発した特殊なサンダルを履いておくのもよいことです。

特殊なサンダル

特殊なサンダル

 

3-4.筋肉に対する施術

靴などの準備ができたら、フクラハギの筋肉を温熱療法やマッサージ、ストレッチなどでほぐします。

筋筋膜性疼痛症候群せいとうつうしょうこうぐんを起こしている場合にはその治療も必要です。

またフトモモの後面の筋肉が硬いとフクラハギの筋肉に負担が生じるので、この部分も柔らかくすることが必要です。

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