痛みの強い外反母趾と痛みのない外反母趾とはどこが違うのか

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なぜ外反母趾の痛い人と痛くない人がいるのでしょうか。
皆さんは不思議に思いませんか。私も最初はなぜだかさっぱり分かりませんでした。しかし本当の理由が分かったとき、自然に「なるほど」と大きな声が出てしまいました。

友達のA子さんも私も外反母趾。A子さんの外反母趾は私よりずっとひどく、親指がとても曲がっているのに、A子さんは現在まったく痛くないらしいし、今までも痛かったことなどほとんどなかったと言っている。でも私はいつもこの親指の痛みに悩まされている。なぜ?」

いや、お友だちと比べなくても自分の左右の足を比べてみて疑問を感じている方もいるでしょう。
「私は右も左も外反母趾。そして右は左よりも曲がり方がひどい。でも痛いのはいつも左の親指の付け根。どうして曲がり方がひどくない方の左が痛いの?」

私もこれに対する答えが思いつきませんでした。痛いのは曲がりつつあるからだろうか。それならばすでにひどく曲がった方もかつては痛みがあったはずだ。しかし患者さんに尋ねても「曲がり方がひどい方は今まで痛んだことはあまりない」という答えが返ってくることがよくあります。
いったいなぜなのか。

1.痛みを発生する2つのパターン

親指が外側に曲がると、親指の付け根にある第1中足骨の先端が内側に出てきます。
するとその部分が靴に当たり、やがて圧迫されて痛みが出ることがあります。

ところが自分の右足と左足でもいいし、自分の足とお友達の足でもいいです。
比べてみて曲がり方がひどくない方が痛いことがよくあります。
もちろん曲がり方がひどい方が痛いこともありますし、両方とも同じくらい痛いこともあります。

ではこの痛みは曲がり方と関係がないのでしょうか。
曲がっているほど、足の親指の付け根が靴の内側に当たります。
靴に強く当たっている方が痛いのではないでしょうか。

実は靴に当たって圧迫されて出る痛みとは違う痛みがあるのです。
それは擦れて出る痛みです。
こちらは圧迫されて出る痛みよりも早期に、しかも強く出ます。

擦れるとは何と何が擦れるのでしょうか。
それは「親指の付け根の骨」と「靴に固定された皮膚」が擦すれるのです。
するとその間にある潤滑油の入った袋が刺激されて痛みが出ます。
これは圧迫された痛みよりも強い傾向があります。

 

2.2つのパターンは何の違いによるのか

2-1.2つの捻じれ方

では圧迫されて痛む場合と、擦れて痛む場合は何によって決まるのかというと、
足の捻れ方の違いによるのです。

私たちの足は色々な捻れ方をしています。
その代表的なものを2つ挙げました。

ひとつは足の前半分の内側が少しだけ上がっている足(前足部内反)で、
もうひとつは足の前半分の外側が少しだけ上がっている足(前足部外反)です。
他にもいろいろなねじれ方がありますが、ここではこの2つを紹介することに留めておきます。

前足部内反と前足部外反

足のねじれの例
足の前半分の内側が上がっている足(左)と外側が上がっている足(右)(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p8, 11)

 

足のねじれの見方

こうやって足の変形(ねじれ・ゆがみ)を見ます。

2-2.足の前半分の内側が上がっている足の動き

前足部内反変形

足の前半分の内側が上がった足

足の前半分の内側が少しだけ上がっている足の場合を考えましょう。

  • カカトが持ち上げられて地面を蹴るときに、親指の付け根の部分を構成する第1中足骨(上図の②)はあまり回転しません。
  • ですから靴に固定された皮膚と第1中足骨の先端の間にある滑液包かつえきほうはあまり刺激されません。滑液包というのは、関節をなめらかに曲げる潤滑油(滑液)が入った袋です。

2-3.足の前半分の外側が上がっている足の動き

足の前半分の外側が上がった足は強い痛みを出すことがある。

ところが足の前半分の外側が少しだけ上がっている足の場合は勝手が違います。

  • カカトが持ち上げられて地面を蹴るときに、カカトの骨は外側に倒れています。見れば分かると思いますが、一般的に足首の捻挫がしやすい状態です。
  • カカトの骨は内側に倒れている場合とは違い、外側に倒れている時は非常に不安定なのです。 そこでカカトの骨を内側に倒し安定化させようとします。
  • この時に同時に第1中足骨(下図の②)と第5中足骨(③)を内側に回転させます(メカニズムは難しいので省略します)。
  • 大きな体重が指の付け根にかかったこの状態で、第1中足骨と第5中足骨が動かされることによって、これらの骨と皮膚の間にある滑液包かつえきほうが刺激され、そして引き裂かれます。
  • この状態が歩いている間、ずっと続くわけです。これが外反母趾の時の親指の付け根の強い痛みの正体なのです。
  • なお同じ人でも左右の足のねじれ方が違う人はたくさんいますので、一方のみの足に痛みが出ることは普通に見られます。

もちろん足の前半分の内側が上がっているタイプでも痛みは出ます。
しかし足の前半分の外側が上がっているタイプのようにすぐには痛みが出ません。
すぐには痛みが出ないので、このタイプは変形が大きくなる傾向があります。
変形が大きくなると圧迫が強くなって痛みが出るようになります。

3.痛みの解決策

この痛みを取り除くには足の指の付け根に包帯を巻き、
骨の回転を抑えかつ摩擦を防ぐのもひとつの方法ですが、
それだけでは完全には防ぎきれません。

また足の異常な動きは足の親指の付け根だけに影響を及ぼすのではなく、
足の他の部分やスネ、ひざ、股関節、腰、背中など全身に影響を及ぼします。

したがってこの足の異常な動きそのものを抑えることの方がより重要です。
どうすればよいかというと足底板を使って足のねじれの影響を最小限にすることがベストです。

足底板

手術を除くと外反母趾には足底板を入れるのがベスト

 

足底板の作製

体重をかけずに作る足底板

これまで述べたことから分かるように、靴やパンプスを履いた時に痛みが出なくても安心できないのです。
もちろん痛みが出たらだめですが、痛みが出ないからと言って外反母趾にならないとは限らないのです。

足の前半分の内側が上がっているタイプは変形が大きくならないと、痛みを感じにくいのです。
そして痛みを感じた時には外反母趾が比較的進んでいることが多いのです。

つまり「靴やパンプスを履いた時に痛みが出ない」というのは
外反母趾を防ぐ必要条件であっても決して十分条件ではないのです。

足のねじれを観察し、そのねじれの影響が出ないように靴やインソールや足底板を使用することが、
外反母趾を防ぐ上での一般的な十分条件になります。

4.バニオン(腱膜瘤)

外反母趾には痛みなどの症状があるものとないものがありますが、
症状のあるものを特にバニオン(腱膜瘤)と呼ぶことがあります。

第1指(親指)が第2指に向かって曲がり、
第1指の付け根の骨(第1中足骨)の内側面が腫れ、
そこの皮膚と骨の間にある潤滑油の入った袋が炎症を起こしている状態です。

外反母趾の人は同時に内反小趾を起こしている人も多いのですが、
第1指の付け根の内側面に見られるバニオンに似たものが、
第5指の付け根の外側面に見られることがあります。
これはバニオネット(小腱膜瘤)と呼ばれます。

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