外反母趾が女性に多い本当の理由は筋肉の弱さではなかった!

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私たちの周りを見渡すと、外反母趾で悩んでいる人がたくさんいる。そしてその数は男性よりもはるかに女性に多いように思われる。まずは男性よりも女性に多いのが事実なのかをまず確かめてみよう。

そしてそれはなぜなのかを調べてみた。女性の方が筋肉が弱いからなのか、女性の履く靴に問題があるのか。それともホルモンが原因なのか。興味深い論文にめぐり会った。

1.男性よりも女性に外反母趾が多いのは事実なのか?

1-1.ニューギニアの裸足の民族の調査

まずはまったく履き物を履かずに生活をしている人たちを調査した結果を見てみよう。

1966年(昭和41年)に発表された「(生活様式が)新石器時代のニューギニアの住民における外反母趾の有病率」(注1)という論文である。 当時ニューギニアには、今から何千年もの昔の新石器時代のような生活をしている人たちがいた。履き物はなくて、みんな裸足で生活している。彼らのうちのどのくらいの人が外反母趾になっているかを調査した。

いくつかの村を調査した結果、ひとつの村を除くすべての村に外反母趾の人がいたと報告されている。そして665人の男性のうちの1パーセント(7人)が、591人の女性のうちの4パーセント(21人)が、少なくても左右どちらかの足に外反母趾が見られたということである。つまり女性が男性の4倍の割合で外反母趾になっているということになる。

また30歳以上に限定すると、男性の3.2パーセント、女性の8.3パーセントが外反母趾になっており、女性が男性の2.6倍の割合だということになる。

1-2.セントヘレナ島での調査

2つ目は1965年に発表された「部分的に靴を履いている地域における外反母趾の発症率」(注2)という論文である。これは当時、セントヘレナ島に住んでいる住民のうちの3006人が調査に協力した結果をまとめたものだ。「部分的に靴を履いている」というのは裸足で生活をしている人もいれば、靴を履いて生活している人もいるという意味である。

また靴を履いている人も、履き始めた時期はまちまちで、若いころから履いている人もいれば、年を取ってから履き始めた人もいる。そしてこの靴の種類に男女差はほとんどなく、靴の先が丸いフラットなものであったということである。

外反母趾の割合

横軸は靴を履いた年数で、縦軸は外反母趾の人の割合
(Shine I B: Incidence of Hallux Valgus in a Partially Shoe-wearing Community. Brit Med J7, 1965, 1, 1649)

調査をして分かったことは、裸足で生活をする人のうち、約2パーセントの人が外反母趾になっていて、その男女差はなかった。

また60年以上靴を履いた人のうち、男性の約16パーセント、女性の約48パーセントが外反母趾になっていた。つまり靴を60年以上履いた人では、女性が男性の3倍の割合で外反母趾になっていたことになる。

2.男性よりも女性に外反母趾が多いのはなぜか?

これまで男性よりも女性に外反母趾の人が多い理由には、女性の方が筋肉が弱いからであるとか、ホルモンの影響であるとか言われてきたが、それを裏付ける論文はなかった。

2004年(平成16年)に男女の足の骨格を細かく調査した結果が発表された。どうやら外反母趾の発生頻度の男女差は、それぞれの骨の構造の違いによるというのが正しいようである。

これは「男女の足の骨の大きさと形の相違」(注3)という論文に書かれている。この論文には「女性の足は外転外反母趾変形になりやすいのか?」という副題がついている。「外転外反母趾変形」というのは外反母趾と考えたらいい。

これは3Dレーザースキャンによって、年齢と性別の分かった107の骨格の距骨きょこつ舟状骨しゅうじょうこつ内側楔状骨ないそくけつじょうこつ、第1中足骨ちゅうそっこつのサイズと形を測定した結果を記したものである。

計測の結果、女性の足の第1中足骨は構造的に内側に移動しやすく、母趾は外側(小指側)に移動しやすい可能性があることが分かった。つまり女性の足は潜在的に外反母趾を形成しやすい構造を持っている可能性があるということである。

外反母趾における骨の動き

女性の足の骨は男性の足の骨よりも外反母趾になりやすい動きをする。

外反母趾が女性に多い原因が筋肉が弱いことにあるならば、筋肉を鍛えればよいのであるが、骨の構造そのものに原因があるのならば、骨自体が外反母趾になる方向に動きやすいのを何とかするしか方法はない。

(注1) Maclennan R: Prevalence of hallux valgus in a Neolithic New Guinea population. Lancet 1966, 1(7452):1398-1400

(注2) Shine I B: Incidence of Hallux Valgus in a Partially Shoe-wearing Community. Brit Med J7, 1965, 1, 1648-50

(注3) Ferrari, J., Hopkinson, L. & Alf, D. (2004). Size and shape difference between male and female foot bones. Journal of the American Podiatric Medical Association, 94: 5; 434-452.

3.女性の外反母趾対策

外反母趾の3大原因は、

  1. 遺伝
  2. 靴、とくにハイヒール
  3. 女性

 である。

とくに遺伝の影響は他の2つに比べて大きい。それに女性という条件が加わると、ハイヒールを履かなくても外反母趾になる可能性が極めて高い。

テーピングや足のエクセサイズも効果がないことはないのだが、仮にそれらで外反母趾が改善されたとしても、ふたたび元にもどることも少なくない。いや少なくないどころか、元にもどることが多い。

なぜならば外反母趾になりやすいという生まれ持った条件がまったく変っていないからだ。そしてこの条件は変えることがほとんど不可能である。

ではどうしたらいいのか。それは足底板そくていばんを使うのである。自分の足に合った足底板を作ってもらい、それをクツに入れる。

そうすれば外反母趾になりやすい足の形や、外反母趾になる方向に動きやすい関節を持っていても、足底板がそのリスクを小さくしてくれるのである。足底板に関しては「外反母趾の痛みを劇的に改善するクツの中敷き(インソール)」を読んでいただきたい。

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