外反母趾の人が正しい歩き方ができない唯一の理由とは何か?

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正しい歩き方をすることは大事なことだが、外反母趾の人がそれをしようとしてもなかなかできない。外反母趾のあなた自身もこれまで正しい歩き方をしようとしてもできなかったのかもしれない。

結論から先に言うと、外反母趾の人は正しい歩き方ができないのだ。そしてあなたは正しい歩き方をしなかったから外反母趾になった訳ではない。足が外反母趾になるような構造であるから正しい歩き方ができないのだ。お分かりであろうか?

1.初めに

世の中では

悪い歩き方をする⇒結果として外反母趾になる

と考えられているのであるが、これはとんでもない間違いなのである。正しくは

足にねじれやゆがみがある⇒結果として外反母趾になる。
足にねじれやゆがみがある⇒結果として悪い歩き方になる。

である。外反母趾も悪い歩き方も結果なのだ。

つまり、足にねじれやゆがみがあると、正しい歩き方ができないのである。まあ意識しているうちに5歩や10歩は正しい歩き方に近い歩き方はできるかもしれない。しかし意識しなくなれば元に戻ってしまうのだ。

よく考えてほしい。外反母趾のない、きれいな足の人は正しい歩き方を意識したからきれいな足になったのか?そんなことは絶対にないはずである。だれも自分の歩き方を意識し続けてきた訳ではない。

遺伝的に外反母趾になるような構造の足を親から受け継いだ人は、歩き方を意識しようがしまいが外反母趾になるのである。

2.正しい歩行とは

2-1.正しい歩行とはどういうものか

正しい歩行とは簡単に言うと、カカトから着地して、親指でしっかり地面を蹴る歩行である。
そういうとカカトから着地すると地面からの衝撃でヒザや腰を痛めるのではないか、と思われるかもしれない。

しかしそんなことはまず起こらない。

なぜか。

それはカカトは丸くなっているため、着地したときに転がることによって衝撃を吸収するからである。
またカカトが着地すると同時にヒザが曲がるため、ヒザでも衝撃が吸収されるからだ。
このふたつのメカニズムによって、カカトから地面に着いても、衝撃で身体を痛めることはない。

2-2.柔らかい足と硬い足

カカトから着地してから、親指で蹴るまでの間に、足は2つの異なった状態に変化する。
ひとつは「柔らかい足」で、もうひとつは「硬い足」である。

まず着地するときを見てみよう。
右足のカカトが地面に着いたのち、カカトが転がりながら、足裏の外側、さらには足裏全体を地面に着ける。

歩行周期・接地期

カカトが地面に着いてから足裏全体が地面に着くまで

このときに衝撃を吸収するために足は内側に倒れて、アーチを低下させる。
このとき足は柔軟性を持っていて、「柔らかい足」の状態にある。

中間位から回内位へ

まっすぐの状態から、内側に倒れた状態に変化する。

右足が着地したときに、左足はまだ身体(からだ)の後ろにある。
そして体重が右足にしっかり載るとともに、左足は身体を通り過ぎる。

歩行周期・立脚仲期

足裏全体が地面に着いた後、反対の足が通り過ぎる。

このとき骨盤が右に回転する。
それとともに右のフトモモやスネが外側に回転する。

骨盤・大腿部、下腿部の回旋

骨盤の回転とともに、フトモモとスネが回転する。

スネが外側に回転すると、
内側に倒れていた足が外側に回転して、まっすぐの状態にもどる。

回内位から中間位へ

内側に倒れた状態から、まっすぐの状態にもどる。

まっすぐの状態にもどると、踵骨しょうこつ立方骨りっぽうこつがしっかりとかみ合って(ロックして)、足全体が硬い状態になる。

回外運動とロック

踵骨と立方骨がかみ合う。

踵骨と立方骨がかみ合うと、足全体がひとつのかたまりになって動くので、
効率よくカカトが持ち上げられる。この状態にある足を「硬い足」という。

歩行周期・推進期

カカトが地面を離れてから、足裏全体が地面から離れるまで

この「柔らかい足」と「硬い足」の切り替えがうまくいけば正しい歩き方ができる。

3.外反母趾の人はなぜ正しい歩行ができないのか

ところが外反母趾の人はこの「柔らかい足」と「硬い足」の切り替えがうまくできない。
いつまでも柔らかい足の状態のままで、硬い足の状態にはならないのである。

たとえば外反母趾になりやすい構造のひとつに、足の前半分の内側が上がったものがある。

前足部内反

足の前半分の内側が少しだけ上がっている足(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p8)

これは下の写真のように、ベッドから足を少し出してもらって観察するとよく分かる。

足のねじれの見方

こうやって足の変形(ねじれ・ゆがみ)を見ます。

この構造の足はカカトが地面に着いたあと、足裏全体を地面に着けるために大きく内側に倒れてしまう。前半分の上がった部分を地面に着けなければいけないので、倒れ方が激しいのだ。

過回内

足の変形が過回内(オーバープロネーション)を起こす。(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p9)

反対の足が前に行き、骨盤が右にねじれ、フトモモとスネが外側に回転しても、
内側に倒れすぎた足は硬い状態にはならない。

そのため足は柔らかい状態のままで、ペタペタの進んでいくことになる。
だから意識してしっかり地面を蹴ろうと思っても、それができないのだ。
もしそれを行なおうとすれば、その不自然な動きは別のところにトラブルを起こす可能性がある。

あなたは水(川や湖)の上を歩くことができるだろうか。水の上を歩くには右足が沈む前に左足を出し、左足が沈む前に右足を出す。これを続けたら水面の上を歩くことができる。しかし実際は理論通りにはできない。

外反母趾の人が正しい歩行を継続して行なおうとするのは、水の上を歩こうとするようなものである。実際はできないのだ。

4.悪い歩き方は外反母趾の原因か

外反母趾の原因のうち、もっとも大きいのは「遺伝」である。
現代医学において外反母趾の後天的な原因は履き物、つまり靴しか分かっていない。
詳しくは「悲しいけれども遺伝は外反母趾の原因の中でも最大のものだ!」を読んでほしい。

何が遺伝するかというと、外反母趾になるような足の構造である。
足は顔とは違い、父母の足のどちらか一方にのみ似るらしい。顔の場合は、鼻は父親似で口は母親似というふうにパーツごとに遺伝するという。

足の構造が似るということは、足の動きも、引いては歩き方も親に似ることになる。
しかしだからと言って歩き方が外反母趾の原因ということではない。
遺伝された足の構造がおかしいから、外反母趾になったり、歩き方が悪くなったりするのである。

なお外反母趾に筋肉はほとんど関係がない。
激しいスポーツをして、足が鍛えられている選手の中にも、外反母趾の人はたくさんいる。

5.どうすれば正しい歩き方ができるのか

外反母趾の人がそのまま歩いても、正しい歩き方はできない。
足の捻じれやゆがみがあるからである。

そこで必要になるのが足底板である。
足底板は足の変形を補正して、足の動きを正しい状態に近づけてくれる。

注意が必要なのは、体重をかけない状態で足底板を作ってもらうことである。
体重をかけてしまうと、つぶれた状態の足に合わせた足底板ができてしまう可能性がある。

足底板の作製

体重をかけずに作る足底板

足底板ができたら、構造的に正しい靴を選び、
その靴の大きさに合うように、足底板をカッティングしてもらおう。

足底板を入れたクツを履いてウォーキングを行なうのだ。
そのときに手には何も持たないのがよい。
荷物があればリュックサックやナップサックに入れて背負うことである。

そして両腕をしっかり振って元気よく歩こう。
自分の体力に合わせて無理のない歩行時間を決め、
初日は30分、2日目は40分というように少しずつ歩行時間を長くすることである。

足底板を入れただけで、すぐに正しい歩行ができるとは限らない。
今までの歩行における、身体の動かし方が残っているからだ。
最初はこれを意識的に変えることが必要である。

正しい歩き方に関しては、外反母趾と歩き方の研究をしている先生がいらっしゃるから
その先生のホームページを見たり、著書・DVDを購入して参考にしてほしい。

6.正しい歩き方は赤ちゃんから

6-1.ハイハイの3タイプ

赤ちゃんのハイハイの仕方には時期によって変化する。

まずは生後3~4か月の赤ちゃんを腹ばいにさせると、
身体をくねらせながら前に進もうとする。
手足はまだ身体の外側にある状態である。

8か月くらいになると、手足を身体の下に持ってくるようになる。
両手で身体を持ち上げ、両ヒザを床に着けて上手に前進する。

さらに12か月くらいになると、両ヒザを床に着けずにハイハイするようになる。
これを「高這いたかばい」と言う。これから立ち上がるようになるのである。

高這い

かわいい赤ちゃんの高這い

この高這いをさせると赤ちゃんの体力がとても強くなる。
歩行器を使わせるのではなく、高這いをしっかりさせて赤ちゃんの身体を鍛えることも大事だ。

6-2.ハイハイの2つの手足の出し方

またハイハイのときの手足の出し方も変化する。
はじめは右足が前に出た後に、同じ側の右手が前に出る。
次に左足が前に出て、それから左手が前に出る。

哺乳類型のハイハイ

哺乳類型のハイハイ

やがてこれが変わるのである。どういうふうに変わるか。
右足が前に出た後に、反対側の左手が前に出る。
次に左足が前に出て、それから右手が前に出る。

霊長類型のハイハイ

霊長類型のハイハイ

これは人間が直立歩行するときの、交互に手足を出すのと同じである。
だから赤ちゃんはハイハイのときからすでに正しい歩き方のトレーニングをしているのである。
おうちに赤ちゃんがいれば、どんどんハイハイさせよう。

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