
欧米で研究が進んでいる足病学では足の変形(捻じれやゆがみ)が外反母趾の原因であると言われています。もう少し詳しく言えば、足が地面に着くときや足で地面を蹴るときに、足の変形によって足全体が大きく内側に倒れることが原因であるとしています。しかし調べていくと他にも原因があることが判明しました。それはフクラハギの筋肉が硬すぎる場合です。
目次
1.足の捻じれやゆがみが外反母趾の原因となる場合
足に捻じれやゆがみがあると外反母趾になる傾向があります。たとえば足の前半分の内側が上がっているタイプの足を考えてみてください。

足の前半分の内側が少しだけ上がっている足(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p8)
この足の変形は下の写真のようにして足をカカトの方向から見ると分かります。

こうやって足の変形(ねじれ・ゆがみ)を見ます。
この足が地面に着くときには足全体が大きく内側に倒れてしまいます(例外もあります)。この動きを過回内(オーバープロネーション)と言います。

足の変形が過回内(オーバープロネーション)を起こす。(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p9)
過回内によって第1中足骨は④~⑥の3つの方向に大きく動かされます。

カカトが倒れるとその動きは足先の方に伝わる。
このとき親指の骨は地面に固定されていますので、第1中足骨が⑥の方向に大きく動かされると、やがて親指の付け根の関節で亜脱臼が起こります。これから外反母趾が起こり、だんだんと悪化していきます。

外反母趾発生時の骨の動き
以上述べたのは足の前半分の内側が上がっているタイプの足が外反母趾を形成する過程ですが、このタイプの足以外の足でも、足の捻じれやゆがみが原因で外反母趾を起こすことがあります。
2.フクラハギの筋肉の硬いことが外反母趾の原因となる場合
しかしそれほど大きな捻じれやゆがみがないのに、外反母趾になっている場合があります。それはフクラハギの筋肉に問題がある場合です。
フクラハギの筋肉に柔軟性があれば下の写真のようにスムーズな歩行ができます。

カカトが地面に着く直前からカカトが地面から離れるまで
しかしフクラハギの筋肉に柔軟性がない場合には下腿部(膝から足首まで)が足部(足首から先)を通り過ぎる時に、筋肉が伸びる限界にまで達します。すると足はアーチを潰して少しでも下腿部が前に進むようにしようとします。

フクラハギの筋肉が硬いと足の縦アーチを潰すことがある。
すると足首を反らす作用のある前脛骨筋の作用で、第1中足骨(+内側楔状骨)が④~⑥の方向に大きく動かされます。

縦アーチが低下して第1中足骨が3つの方向に大きく動く。
親指の基節骨は地面に固定されているので、第1中足骨が⑥の方向に大きく動くと、親指の付け根の関節で亜脱臼が起こり、外反母趾へと進むことがあります。

外反母趾発生時の骨の動き
3.フクラハギの筋肉の硬いことが原因となる場合の対処法
3-1.靴選び
ウォーキングシュースやビジネスシューズは構造的にしっかりしたものを選んでください。選び方は「外反母趾の人生をバラ色にするシューズ選びの3つのポイント」に書かれています。
またパンプスも構造的にしっかりとしたもので、ヒールの高さが3センチくらいのものを選んでください。詳しくは「ハイヒールのパンプスが女性に及ぼす6つの悪影響とその対策」で説明しています。また足底板やインソールを入れるために、少し深めのもので中敷きが取り外せるものが良いです。
3-2.足底板やインソール
ウォーキングシューズやビジネスシューズ、あるいはパンプスの中に足底板やインソールを入れるのですが、これにヒールレイザーといってカカトを持ち上げるものを装着します。カカトを上げるとアキレス腱にかかる負担が少なくなるからです。

ヒールレイザーの一種
3-3.サンダル
自宅では鼻緒付きのサンダルで、カカトが上がっていて傾斜があるものを使うのが良いです。