外反母趾を治すのにできるだけ出費を抑える賢い方法とは何か

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外反母趾を治すのに多額のお金を投資している方を何人も見てきました。それで満足のいく結果が得られればいいのですが、ほとんど意味がなかったと感じている方ばかりでした(ですから当研究所にいらっしゃったのでしょうが)。そこで外反母趾に無駄な出費をしないためにはどうすればよいかを考えてみました。

1.お金を無駄にしないために2つのことを知る

多額の金額を無駄にしている(とご本人が思っている)場合に、その「多額」というのは人によって違います。1万円でも多額だと感じる人もいれば、30万円ぐらいで多額と感じる人もいます。

どれだけの金額で「多額」であるとは決めがたいのですが、自分が期待した結果が得られなかったら、無駄であると感じるようです。逆に期待した結果がある程度得られれば、少々高くても無駄だったとは思わないと思います。

ですからどれだけその施術所に通ったらどれだけの結果が得られるのかを、あらかじめ尋ねておくのが良いと思います。多くの患者様を診た施術家であれば、だいたいは見当がつくものです。

また外反母趾が改善したのちに、再び元の状態に逆戻りする場合があります。それに対する処置も教えてもらわないと、改善までに行った努力が水泡に帰すことになってしまいます。

まとめてみましょう。

  1. どれだけのことを行ったらどれだけの結果が得られるかをあらかじめ知っておく。
  2. 得られた結果が失われないようにする方法を知っておく。

この2つがお金を無駄にしないためには重要です。

 

2.外反母趾は進行するが、その犯人は○○○である

ほとんどの外反母趾は放置していると進行します。色々な治療をしたが効果がなかったから放っておこうと思っても、放っておくうちに外反母趾は進んでいきます。

ですから外反母趾を改善する前に、進行するのを止めなければいけません。
案外、このことは理解されていないようです。

ではなぜ進行するのでしょうか。

外反母趾の人は足裏が地面に着くときに、足全体が内側に倒れ過ぎます。
このとき第1中足骨ちゅうそっこつ内側楔状骨ないそくけつじょうこつは一緒になって3つの方向に大きく動かされます。
この2つの骨は硬く結び付いているので一緒に動くのです。

過回内と骨の異常な動き

過回内カカトが倒れるとその動きは足先の方に伝わる。

④.正常な場合と比べて、先端が後端よりも相対的にさらに上がってしまう(つまり後端が先端よりも相対的にさらに下がってしまう)。
⑤.正常な場合と比べて、床側の面がさらに内側を向く。
⑥.正常な場合と比べて、第2中足骨からさらに離れる方向(内側)に動く。

親指が地面に着いたときに、親指を曲げる筋肉は親指の中にある基節骨きせつこつを地面にしっかりと固定しています。この状態で第1中足骨ちゅうそっこつ(+内側楔状骨ないそくけつじょうこつ)が④~⑥(とくに⑥)のような動きをするため、親指の付け根の関節が亜脱臼を起こし、その関節は不安定になります。

外反母趾発生時の骨の動き1

外反母趾発生時の骨の動き1

すると地面を蹴るときに、親指を外側(小指側)に引っ張る筋肉が基節骨きせつこつを外側(Aの方向)に引っ張ってずらします。 このように外反母趾は進んでいきます。

外反母趾発生時の骨の動き2

外反母趾の形成

これまではこの程度の説明でしたが、では第1中足骨ちゅうそっこつ(+内側楔状骨ないそくけつじょうこつ)を④~⑥のように動かすものは何かということをお話します。

それは前脛骨筋ぜんけいこつきんという名前の筋肉です。

この筋肉はスネの骨の前面から始まって、第1中足骨ちゅうそっこつ内側楔状骨ないそくけつじょうこつの足裏側に着いています。

前脛骨筋と長指伸筋

前脛骨筋(TA)と長指伸筋(EHL)(カパンディ関節生理学Ⅱ.下肢. 医歯薬出版株式会社. 1997.  p.217) (一部改変)

この筋肉の働きのひとつはカカトが着いてから足裏全体が地面に着くまでに、いきなりバタンと着かないように調整することがあります。

さらに左足が地面に着いてから、右足が地面を離れるときには右足首がしっかりと反っていないと、右足先が地面に触れてしまいます。このときにも前脛骨筋ぜんけいこつきんが右足首を反らすために働くのです。

つまりしっかりとした正しい歩き方を行う上で、この筋肉は非常に大切な働きをするのです。ということは、正しい歩き方をしようとすればするほどこの筋肉が働くので、第1中足骨は上で述べた④~⑥の方向に動かされ、外反母趾は進行してしまうのです。

しかし外反母趾ではない人は第1中足骨ちゅうそっこつがたとえ④~⑥のような方向に動いたとしても、動き方が大きくないので親指が変形するようなことにはならないのです。この違いはどこにあるのでしょうか。

3.足の捻じれが第1中足骨の動きを大きくする

上述のように④~⑥の動きが大きいと外反母趾に進みます。この④~⑥の動きを大きくしているのは前脛骨筋ぜんけいこつきんという筋肉でした。

では前脛骨筋がぜんけいこつきん④~⑥の動きを大きくするのは何が原因なのでしょうか。それが親から遺伝された足の捻じれなのです。

足の捻じれにも色々なタイプがありますが、その中でも代表的なのが足の前半分の内側が上がっているものです。

前足部内反

足の前半分の内側が少しだけ上がっている足(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p8)

これは下記のように患者様にうつ伏せになっていただいて、足首付近にある関節を真直ぐにした状態で、カカトの真後ろ(真上)から観察するとよく分かります。

足のねじれの見方

こうやって足の変形(ねじれ・ゆがみ)を見ます。

このような捻じれを持った足がその足裏全体を地面に着けるためには、足全体が内側に大きく倒れなければいけません。

過回内

足の変形が過回内(オーバープロネーション)を起こす。(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p9)

このときに前脛骨筋ぜんけいこつきんが通常以上に働かされ過ぎて、第1中足骨ちゅうそっこつの異常な動き(④~⑥)を生むのです。

さらにもう一つ。

4.外反母趾の人は親指に体重が載せられない

よく外反母趾の人は歩くときに親指に体重を載せなさいと言われます。ところが外反母趾の人は親指に体重を載せることができないのです。その代わりに第2指の付け根に体重が載ります。

なぜでしょうか。

まず、親指をしっかりと地面に着ける筋肉はどれでしょうか。それは長腓骨筋ちょうひこつきんという筋肉です。
この筋肉はスネの外側から始まって、足の外側から足裏に入り、足裏を横切って第1中足骨ちゅうそっこつにくっついています。

長腓骨筋と短腓骨筋

長腓骨筋 (PL) と短腓骨筋 (PB) (カパンディ関節生理学Ⅱ.下肢. 医歯薬出版株式会社. 1997. p.215) (一部改変)

この筋肉が働くと第1中足骨ちゅうそっこつを下げて、親指の付け根、さらには親指を地面にしっかりと着けます。

ただしこの筋肉が親指を地面に着ける働きをするためには、足が外側に倒れていないといけません。
足が内側に倒れていると、その機能を発揮できないのです。

次の図をご覧になってください。足の断面図の3つの状態が描かれています。

長腓骨筋腱と距骨下関節の関係
真中の図は足が内側にも外側にも倒れていない状態(B)で、左側の図は足が内側に倒れている状態(A)、そして右側の図は足が外側に倒れている状態(C)です。

足が外側に倒れている状態(C)では長腓骨筋ちょうひこつきんが働くと(上向きの矢印)、下向きの矢印が示すように、「内側楔状骨ないそくけつじょうこつ+第1中足骨ちゅうそっこつ」が地面の方向に引っ張られます(矢印4)。

しかし足が内側に倒れている状態(A)では、長腓骨筋ちょうひこつきんが働くと(上向きの矢印)、「内側楔状骨ないそくけつじょうこつ+第1中足骨ちゅうそっこつ」には上向きの力がかかります(矢印2)が、下向きの力はかかりません。そのため親指をしっかりと地面に着けることができなくなり、体重は第2~3指の付け根にかかるようになります。

これらの骨の動きは意識して変えられるものではありません。
したがって「あること」を行わなければいけません。

 

5.お金を無駄にしないためにまず行うことは何か

その「あること」というのは何かというと「足底板そくていばん」を作ってもらうことです。
足底板を作って、足の捻じれを補正することです。
足の捻じれを補正すると、足の異常な動きが抑えられます。

この足底板を作成するときに大事なことは、体重を載せない状態で作成するということです。
下の写真ではイスに腰かけた状態で足底板を作っています。

足底板の作製

体重をかけずに作る足底板

体重を少しでもかけると、足はつぶれた状態になってしまいます。
つぶれた状態で作った足底板を使うと、足の異常な動きを止めることはできなくなります。

外反母趾は(足底板なしに)正しい歩き方を行うと改善するなどと根拠のはっきりしないことを広めている人がいることは残念なことです。足底板なしに正しい歩き方など外反母趾の人にはできっこないのです。できないどころかまずます外反母趾を悪化させてしまう恐れもあるのです。

ですからお金を無駄にしないためには、まずは足底板を作り、きちんとした構造の靴を購入することです。
そして足底板をその靴の中に入れてしっかりと歩くことです。

その上で各種のエクセサイズを行ったり、施術を受けたりすることが、もっともお金を無駄にしない方法なのです。足底板で外反母趾の悪化を最小限にした上で他のことを行いましょう。自分で行うエクセサイズと足底板(+ウォーキングシューズ)だけで改善した人もたくさんいらっしゃいます。

そのとき行うエクセサイズは下記を参照してください。
1)つま先立ち運動とそのパワーアップ版で外反母趾を改善させる
2)ホーマン体操は外反母趾を改善するが、その正しいやり方とは

 

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