筋肉が弱るのが外反母趾の原因だというのはまったくの間違い

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筋肉が弱るから外反母趾になるという説があります。しかしそれを裏づける研究はないと思います。
実際に私たちの周りを見渡しても、筋肉の強さと外反母趾は関係ないのではないかと思われる事実があります。

たとえば短距離走やマラソン、アメフトやサッカーなどの激しいスポーツで
足の筋肉をしっかり使っていても外反母趾になる人はいくらでもいますし、

逆にスポーツ嫌いで弱々しい足の人でも、外反母趾ではない人はたくさんいます。
筋肉の強い・弱いは外反母趾の原因とは関係がありません。

そして足病学では外反母趾の真の原因は「距骨下関節きょこつかかんせつ過回内かかいない」であると言われています。
それがどういうものであるかをビデオで見ていただきたいて理解していただきたいと思います。

1.足の握力が弱っているのはなぜか(ローアーチの場合)

足の握力を測ると外反母趾の人は外反母趾ではない人に比べて
その数値が低いとの報告があります。

しかしだからと言って足の握力の数値の低下が個々の筋力の低下を意味するとは限りません。
それは筋肉の働きの逆転現象が起こるからです。

たとえば後足部こうそくぶ(足の後ろ半分)に対して前足部ぜんそくぶ(足の前半分)の内側が上がっているタイプの人を考えてみましょう。

前足部内反

足の前半分の内側が少しだけ上がっている足(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p8)

このタイプの足が地面に着くと、足全体が内側に大きく倒れ込みます(例外もあります)。
この異常な動きを距骨下関節の過回内(オーバープロネーション)と言います。
この距骨下関節の過回内が外反母趾を作り出します。詳しくは「足病学で説明されている、外反母趾発生の真のメカニズムとは」をご覧になってください。

過回内

足の変形が過回内(オーバープロネーション)を起こす。(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p9)

距骨下関節の過回内が起こると足裏にある長趾屈筋ちょうしくっきんの走行が下図のように変るのです。
左図が正常な足で、右図が距骨下関節の過回内を起こした足です。

長趾屈筋の作用の変化

(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p27)

本来は第2~5指をまっすぐに引っ張る長趾屈筋ちょうしくっきん足底方形筋そくていほうけいきんが、それらを斜めに引っ張るようになります。
その結果どうなるかというと外側に位置する足の指ほど捻じれます。
足の指が捻じれると、本来足の指を曲げる筋肉(虫様筋ちゅうようきん底側骨間筋ていそくこっかんきん背側骨間筋はいそくこっかんきん)が、足の指を反らすように働くのです。

もう少し分かりやすく模型で説明しましょう。まずは正常な場合です。
筋肉は関節の軸の下を通っていますので、筋肉が働くと第5指(小指)は下に曲げられます。

小指を曲げる筋肉の本来の走行

小指を曲げる筋肉の本来の走行

次に足全体が内側に倒れすぎた場合を見てみましょう。
筋肉は関節の軸の上を通っています。そのため筋肉が働くと第5指(小指)は上に反ります。

本来の筋肉の作用とは逆の作用を持つことになった訳です。
当然のことながら足の握力は低下することになります。

筋肉の作用の逆転

本来は小指を曲げる作用を持つ筋肉はその作用を逆転する。

 

2.足の握力が弱っているのはなぜか(ハイアーチの場合)

後足部に対して前足部の外側が上がっているタイプの人を考えてみましょう。

前足部外反

足の前半分の外側が少しだけ上がっている足(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p11)

このタイプの足は歩行の際に小指側よりも親指側から先に地面に着きます。
その後、足裏全体を地面に着けるのですが、そのために足全体は外側に倒れます。
これは捻挫を起こす方向の動きであり、非常に不安定な動きです。

そのためカカトが上がった後で、足全体を急速に内側に倒します。
この異常な動きを距骨下関節の過回内(オーバープロネーション)と言います。
この異常な動きによって外反母趾になるのですが、また足はハイアーチの状態になります。

ハイアーチの筋肉の走行

ミショー, T.-C. 加倉井周一訳(2005)『臨床足装具学』 医歯薬出版株式会社 p78, 一部改変

ハイアーチ(上図右)になると本来指を曲げる筋肉(赤色)がMP関節の軸(②)の上を通るようになるため、指を上に反らすように働きます。つまり筋肉の作用が逆転するのです。
当然、足の握力は低下します。

3.筋肉は関係ない

2つのタイプの外反母趾のメカニズムを書きましたが、
どちらも距骨下関節の過回内(オーバープロネーション)が起こっています。
足病学ではこの距骨下関節の過回内が外反母趾の原因だとされています。

この距骨下関節の過回内に関しては筋肉とはあまり関係ないとされています。
米国の足病学のバイブル的存在である「Foot Orthoses and Other Forms of Conservative Foot Care(Thomas C. Michaud著)」に次のように書かれています。

「Mann et al. claim that the final range of subtalar joint pronation available during the contact period is limited by, in order of importance, the congenital placement of the axes of the subtalar and midtarsal joints, the geometry of their articulating surfaces, and by their connecting ligaments. Apparently, the muscles play a relatively insignificant role in limiting subtalar pronation.」(Michaud TC. Foot Orthoses and Other Forms of Conservative Foot Care. 1997, p31)

マン(Mann)らは、「接地期の間に距骨下関節が回内しうる最終的な範囲は距骨下関節と横足根関節の運動軸の先天的な配置、(関節を構成する)骨の関節面の形状、(関節を構成する)骨を連結する靭帯の順で制限されている。見たところでは筋肉は距骨下関節の回内を制限するときに相対的に大した役割は果たしていないようだ」と主張している。

少し難しいので分かりやすく説明します。マン(Mann)という名前の研究者がいて、彼とその研究仲間が次のように述べているのです。足が地面に着いたときに距骨下関節がどれだけ回内するかはまずは距骨下関節と横足根関節(おうそっこんかんせつ)の運動軸の先天的な配置で制限されるというのです。

どの関節にも運動軸というものがあります。たとえば肘関節でしたら下の写真の赤い線のように運動軸が走っています。そしてこれを軸にして肘を曲げたり伸ばしたりするわけです。

肘関節の運動軸

肘関節の運動軸

同じように距骨下関節や横足根関節にも下図のように運動軸というものがあり、それを軸にしていろいろな動きが出てくるのです。足が接地したときに距骨下関節がどれだけ回内するかはこれらの関節の軸がどのような位置関係になっているかで決まるのです。そしてそれは「先天的」だというのです。

距骨下関節と横足根関節の運動軸

距骨下関節と横足根関節の運動軸

つぎに距骨下関節がどれだけ回内するかは、距骨下関節や横足根関節を形成している骨の向かい合った面の形状によって決まるというのです。デコボコなのか、なめらかなのかによって関節の動きがどれだけ制限されるのかが決まるのでしょう。そして3つ目は骨を連結する靭帯(じんたい)、つまり骨と骨を結びつける硬いスジです。これによって距骨下関節がどれだけ回内するかが左右されるのです。

結局、筋肉はあまり関係ないというのが結論です。筋肉が強かろうが弱かろうが、距骨下関節がどれだけ回内するかということは上で述べた3つのことに左右されるということです。つまり外反母趾になるかならないかは、筋肉とはあまり関係がないということです。筋肉とはあまり関係がないということは、筋肉を鍛えるということは外反母趾を改善したり、予防したりすることにはあまり効果がないということになります。あるいは一時的に改善させたとしても、過回内が続けば再び元に戻る可能性が大きいということです。

外反母趾と筋肉の強さが無関係であることは、このような客観的な記述を見るまでもなく、私たちの周りを見渡せば納得がいくと思います。激しいスポーツを行なっている人にも外反母趾の人はたくさんいますし、運動嫌いの人にも外反母趾でない人が数えきれないくらいいます。

4.正常な回内と異常な回内(過回内)のビデオ

過回内がどういうものかを理解するためにビデオを見ていただきましょう。ひとつめのビデオは正常な足の動きで、ふたつめは過回内を起こしている動きです。英語が分からなくても、見ているだけでだいたい分かります。それぞれ1分40秒ほどの短いビデオです。

交互に見ていると、「過回内」の動きがよく分かります。この過回内が外反母趾を始めとしていろいろな足のトラブルにつながることが多いのです。過回内を起こすとカカトが地面に着くときにカカトは15度以上内側に倒れてしまいます。

また2つのビデオにそれぞれ靴の裏の減り方が説明されています。過回内を起こすと

  • 踵の部分は正常な場合よりも外側が多く減っています。
  • 前の部分は正常な場合よりも内側が多く減っています。

さっそくご自分の靴の裏を見て、確かめてみましょう。

4-1.正常な回内のビデオ

正常な回内の場合にはカカトが地面に着いた後、足全体が地面に着くときに足は内側に約15度倒れます。 この動きは正常なアーチの足を持つランナーには標準的に見られます。ランニングシューズの裏を見ると、前足部(ぜんそくぶ)とカカトは同じような減り方をしているのが分かります。

4-2.異常な回内(過回内)のビデオ(1)

過回内(かかいない)を起こすとカカトが地面に着いた後、足全体が地面に着くときに足は内側に15度以上倒れます。 この過回内は偏平足(へんぺいそく)のランナーにはよく見られます。 古いランニングシューズの裏を見ると、前足部の内側とカカトがとても減っています。

4-3.異常な回内(過回内)のビデオ(2)

過回内を理解するのに役立つアニメーションがありました。これも参考にしてください。

 

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治療家も真っ青!超短期間で痛みを1/10にする方法

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足や膝や腰のトラブルに関しては

さまざまな施術方法が存在します。

 

しかし欧米で研究が進んでいる「足病学」の理論に基づいた施術方法は

まだ一般的には知られていません。

 

私たちの身体の構造は多くは遺伝によって

両親から引き継いでいます。

足の構造も両親のどちらかから引き継いでいるのです。

 

足に異常な構造があると、それは足の異常な動きを生みだし、

さらにスネ、膝、フトモモ、骨盤、背骨に異常な動きを発生します。

 

その異常な動きは

シンスプリント、変形性膝関節症、変形性股関節症、坐骨神経痛、

腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症、腰痛、

頸の痛み、猫背、ストレートネックなど

さまざまなトラブルを引き起こすのです。

 

これらの疾患から来た痛みを改善するのには

まずは足の異常な構造を足底板(そくていばん)によって補正し、

足の正しい動きを作ってやらなければなりません。

 

そして身体の動きを正常に近づけた上で、

痛みを出している部分(ほとんどは筋肉です)の施術を行います。

 

欧米では足底板はごく一般的に使用されていますが、

日本ではあまり一般には知られていません。

 

あなたも足病学に基づく施術を受け、

一日も早く、身体のトラブルを改善させてください。


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