外反母趾の手術後の再発を防止するために必要な最低限の知識

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外反母趾の手術を受けたが、再び親指が変形し痛みが出てきた、つまり再発したという人がいます。当研究所にも何人かが訪れましたが、なぜ再発したのでしょうか。また再発を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは外反母趾の手術と再発の防止について述べてみます。

1.外反母趾の時期(ステージ)

外反母趾の時期は通常、下記のように4つの時期に分類されます。下に行くほどひどくなります。

  1. 可逆期かぎゃくき代償期だいしょうき):足の母指は外側(小指側)に曲がっていますが、手で力を加えたり、自分で足の親指に力を入れると親指が元の位置に戻る時期です。
  2. 拘縮期こうしゅくき非代償期ひだいしょうき):足の親指のつけ根の関節包や靭帯が固まり、足の親指を外側(小指側)に曲げる筋肉も短縮し、もはや手で力を加えたり、自分で足の親指に力を入れても元の状態には戻らない時期です。
  3. 進行期(増悪期):立っているだけで足の親指が外側(小指側)に曲がって行きます。足の親指を曲げる筋肉の腱が、足の親指のつけ根の関節の外側に移動するため、歩行する、すなわち地面を蹴るとますます親指が外側(小指側)に曲がるようになります。
  4. 終末期:足の親指は第2指と交差し、親指のつけ根の関節が脱臼してしまいます。親指は第2指の下に位置するようになります。

 

2.外反母趾と手術

外反母趾の痛みは進行期までは保存療法(靴や足底板)でなくなることが多いのですが、たとえ痛みがなくなったとしても、足の形が気になるということで手術を受けられる方はいます。

とくに上記の表の進行期や終末期になると、足の形をひどく感じる上に、テーピングなどでも元の形には戻りませんので手術を考える方が出てきます。その際は、信頼のおける医師に相談をして手術を受けるのもよいと思います。

ただ手術を受けられて、いったんは足の親指がまっすぐになったけれども、ふたたび以前のように曲がってくる場合があります。当院にも何名かがそういう状態でご来院されました。これは外反母趾のメカニズムから考えると大いにありうる話です。

 

3.なぜ再発したのか

欧米で研究が進んでいる「足病学」では、外反母趾はおもに「足のねじれ」からくる「カカトの倒れ」が原因だとされています。手術ではこの「足のねじれ」は取り除いてはいないので、ふたたびカカトが内側に倒れてきて、外反母趾を引き起こすわけです。簡単に説明します。

ひとりひとりの顔が違うように、足の形もみんな違います。その違った足の形は足病学ではいくつかのパターンに分類されています。その中のひとつである、足の前半分(前足部)の内側が少し上がったタイプの足を上げてみましょう。この足の裏全体が地面に着くときに、足は大きく内側に倒れます。

過回内

足の変形が過回内(オーバープロネーション)を起こす。(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p9)

すると親指の付け根にある第1中足骨ちゅうそっこつは3つの方向(下の写真の④~⑥)に大きく動かされます。

過回内と骨の異常な動き

過回内カカトが倒れるとその動きは足先の方に伝わる。

このとき親指の骨(基節骨きせつこつ)はしっかりと地面に固定されていますので、親指の付け根の関節で亜脱臼が起きることになります。これから外反母趾へと進んでいくのです。外反母趾の発生メカニズムの詳細については「足病学で説明されている、外反母趾発生の真のメカニズムとは」をご覧になってください。

外反母趾発生時の骨の動き1

外反母趾発生時の骨の動き1

この足の前半分(前足部)の内側が少し上がった構造は手術で矯正するわけではないので、手術が終わってからも足は同じような動きをするわけです。この時に履くものが悪ければ再び外反母趾が起こることもあります。

 

4.手術後の再発の予防

ではどうしたらよいかというと、次のことを実行すればよいです。

  1. 構造的かつ機能的に優れた靴で、自分の足の大きさに合ったものを選んで履く。靴の選び方は「外反母趾の人生をバラ色にするシューズ選びの3つのポイント」をご覧になってください。
  2. その中に「足のねじれ」を補正するために足底板を作成して入れる。足底板に関する詳しい説明は「外反母趾の痛みを劇的に改善するクツの中敷き(インソール)」をお読みになってください。
  3. 靴を脱いだときも「足のねじれ」の影響が出ないように特殊なサンダル(下記)を履く。
  4. その上で足の指を広げるテーピングや特殊な矯正ソックス(下記)を使用する。

4番目のテーピングや特殊なソックスは1~3番を実行した上で行って下さい。1~3番で「足のねじれ」の影響を出ないようにした上で4番目を行わないとあまり意味がありません。

お風呂に水を入れていて溢れるようになったときに、もし浴槽の中の水の量を減らそうと思ったらどうしますか。蛇口の水を出しっぱなしで、タライで水をくみ出しますか。まずは蛇口をひねって水を止めるでしょう。

それと同じことで、原因である「足のねじれ」の影響を1~3番で止めてから、結果である「親指の外反」を防がなければ意味がありません。これは手術後の再発の予防だけではありません。手術せずに外反母趾の痛みや形を改善しようとする場合でも同じです。

 

5.外反母趾再発防止用のグッズ

これまでたくさんの外反母趾グッズを見てきましたが、これらに勝るものはないのではないかと思っています。

5-1.構造的かつ機能的に優れた靴

当院ではニューバランスのウォーキングシューズをお勧めしていますが、アシックスやミズノなどにもよい靴があります。信頼のおけるシューフィッターの方に相談しながら選ぶのが大事なことです。

仕事上、どうしてもパンプスを履かなければいけない方もシューフィッターの方と相談の上で選んで下さい。そのときにヒールの高さは3~5センチにし、必ず足底板を作成して入れましょう。足底板を入れるために少し深めのパンプスを購入して下さい。

ウォーキングシューズ

ウォーキングシューズ

5-2.足底板・インソール

足底板はその人の足の形に応じて作成します。一方、インソールは既製品です。
外反母趾がひどくて手術を受けた場合、あるいは手術を受けなくても外反母趾がひどい場合はインソールよりも足底板の方がよいです。とくにパンプスを履く場合は必ず足底板入れて足を守りましょう。

足底板

足底板を靴に入れる。

5-3.特殊なサンダル

日本人は欧米人とは生活様式が違うので、いつも足底板を入れた靴を履けるわけではありません。特に自宅ではほとんどの方が靴を履けません。もし自宅がフローリングならばこのサンダルの使用をお勧めします。このサンダルには鼻緒がありますので、寒い時期には5本指ソックスを履いてからサンダルを使用します。

サンダル

足病医の開発したサンダル

通常の5本指ソックスの代わりに、下記の矯正ソックスを併用したら足は一層よい状態に保たれるでしょう。
もちろん自宅用にウォーキングシューズを1つ買って、その中に足底板を入れて家の中で使ってもかまいません。そのようにしている方も実際にいらっしゃいます。

5-4.矯正ソックス

足の指を伸ばし、足のアーチを整えます。足底板と併用すると一層効果的です。

矯正ソックス

(個人差があり、同様の結果を保証するものではありません)

 

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