
足の外側からカカト付近までの痛みを感じる場合には、小指を広げる筋肉に異常が起こっている可能性があります。この筋肉からの痛みは、ときには小指の方に広がったり、逆に足首の外側まで波及することもあります。この筋肉からの痛みを取り除く方法と、再発を予防する手段を説明します。
目次
1.小趾外転筋の筋筋膜性疼痛症候群とは
とくに怪我があるわけでもないのに、足の小指の付け根に痛みが出るのは小趾外転筋という筋肉に起こった筋筋膜性疼痛症候群の場合が多いです。
小趾外転筋は足の小指を広げる筋肉です。また筋筋膜性疼痛症候群というのは筋肉が原因で痛みやしびれを引き起こす病気です。
この筋肉は足の小指の付け根からカカトの外側にかけて痛みを出します。
またひどくなると小指そのものや足首の外側まで痛みを感じることもあります。
したがって足首の捻挫と勘違いされることがあります。
「カカトが痛い」ということだけを訴える方もいらっしゃいます。
この筋肉は足が左右に揺れるのを防いでバランスを取る作用を持ちます。
とくに足首が内反する方向に動くとき、すなわち足首が外側に倒れるときに、
その動きをコントロールしますので、内反方向への動きが激しい場合に、
この筋肉が筋筋膜性疼痛症候群を起こしやすい傾向があります。
下記のリンク先の図にこの筋肉とこの筋肉が原因で出る痛みの場所が描かれています。
またこの図には短趾屈筋という別の筋肉とその痛みの出る場所も描かれています。小指側にあるのが小趾外転筋です。
2.小趾外転筋の筋筋膜性疼痛症候群の原因
デコボコ道や左右に傾斜した道で歩いたり、走ったりするとこの筋肉が使われ過ぎて筋筋膜性疼痛症候群を起こすことがあります。
また左右への動きの激しいダンスを行っている時にこの筋肉を痛めることもあります。
さらに爪先のきつい靴、底の硬い靴、傾斜の大きい靴(ハイヒール)を履くことは、足指の運動を妨げるためこの筋肉に負担がかかり、やはりこの筋肉の筋筋膜性疼痛症候群の原因になることがあります。
骨折で足をギプスで固定したり、打撲によってこの筋肉が損傷したりする場合でも、この病気が発生することがあります。
3.小趾外転筋の筋筋膜性疼痛症候群のメカニズム
ここでは足の異常な動きによって、この病気が発生する場合のメカニズムを説明します。
足の構造には色々なタイプのものがあり、どのようなタイプの足にもこの病気は発生します。しかし足の異常な動きが原因で発生する場合には、特定の構造を持つ足に起こりやすいのです。
ここでは比較的この病気が起こりやすい足として、足の前半分が上がった構造の足を取り上げてみます。
歩行中にこの構造の足の裏が地面に着くときには、足全体が大きく内側に倒れます。
すると小指の付け根にある第5中足骨は、正常な場合以上に大きく3つの方向に動かされます。
①.床からの反発力により先端は上方に押し上げられ(実際には移動しません)、体重によって後端は下方に大きく下げられる。
②.床側の面が大きく外側を向く。
③.第4中足骨から大きく離れる方向(外側)に動く。
つまり第5中足骨がとても不安定になるのです。すると小趾外転筋は正常な場合以上に過剰に働かされ、その結果、筋筋膜性疼痛症候群を起こすことになるのです。
4.小趾外転筋の筋筋膜性疼痛症候群対策
4-1.小趾外転筋に対する治療
まずはこの筋肉の筋筋膜性疼痛症候群に対する治療が必要です。これは専門家に任せた方がよいと思います。
が、自分で行いたいときには、小さな硬いボールを準備します。直径が2センチ未満がよいです。ゴルフボールは大きすぎますので、小さめのゴムボールあるいはビー玉にしてください。
これを硬い床の上に置き、足裏の外側部分をこのボールに載せます。そして足裏でこのボールをころがすことによって、この筋肉をマッサージします。とくに痛いところが分かった場合には、その部分を念入りにマッサージします。
マッサージが終わったらストレッチです。手を使って小指を反らしながら、小指を親指方向に曲げると良いです。また膝の悪くない方は蹲踞の姿勢を取っても良いです。このときにカカトを少し外側に倒す感じで行えば、なおしっかりとしたストレッチになります。
4-2.靴と足底板・インソール
次に構造的に優れた靴を購入し、その中に足底板を入れ、この筋肉にかかるダメージを最小限にしなければなりません。これは再発防止の目的でも行います。
仕事でパンプスを履かなければならない人は、ヒール高を3~5センチにし、その中にパンプス用の足底板あるいはインソールを入れておくことをお勧めします。足底板はオーダーメイドのもので、インソールは既製品です。
家の中では靴を脱いでいますので、靴や足底板の持つ足の動きをコントロールする働きがなくなります。ですから足の捻じれの影響を極力少なくするには、米国の足病医が開発した特殊なサンダルを利用するのが良いと思います。