
足の小指の付け根の裏側、つまり小趾球部にタコができている人はよく見かけます。これは第5中足骨の先端に相当する皮膚に地面からの垂直な力が継続的に加わったためにできるものです。比較的アーチの高い足に見られます。このタイプの足は地面からの衝撃を吸収する能力に劣るため、膝や股関節などにトラブルを起こす可能性があるので注意が必要です。
目次
1.小指の付け根の足裏側にできるタコとは
小趾球部にできるタコで、ここに地面から垂直な力が加わるためにできたものです。ハイアーチの足に多く、同時に母趾球部にもタコができている場合もあります。
ここにタコができている足は地面からの衝撃を吸収する能力が低いために、膝関節や股関節、さらには腰部にダメージを及ぼしやすい傾向があります。
図中の⑤と⑥は同じようなメカニズムで起こる(例外もある)ので、一緒に記載しておきました。⑤は親指の付け根の足底面にできるタコです。
2.小指の付け根の足裏側にできるタコの対策
2-1.靴の選択
靴は「親指の付け根の足底面にできるタコ」の場合と同様に、まずは構造的にしっかりしたものを選ぶことが重要です。それとともに、クッション性に優れたものを選択しましょう。靴の選び方に関しては「外反母趾の人生をバラ色にするシューズ選びの3つのポイント」で書きました。そこに書かれた条件に「クッション性」という条件を追加してください。
2-2.足底板とインソール
クッション性は靴の機能にまかせて、靴の中に入れる中敷き、つまり足底板やインソールには足の動きをコントロールする機能を持たせましょう。足底板はオーダーメイド品で、インソールは既製品です。既製品だと足の動きをコントロールする力が弱いですので、できれば足底板を使った方が良いでしょう。
2-3.特殊なサンダル
自宅の中では、米国の足病医が開発したサンダルを履くのが良いです。
3.小指の付け根の足裏側にできるタコの機序
これからこのタコができる機序(メカニズム)を述べますが、少々難しいので、ここは特に読まなくても結構です。興味のある方だけお読みください。
小趾球部にタコを作るタイプの足には特徴があります。そして4種類のタイプの足があります。ひとつずつ説明しましょう。
3-1.足の前半分の外側が少しだけ上がっている足
この構造を持つ足が歩行中に地面に着くときに、まずはカカトが着き、続いて親指の付け根が着き、その後に足全体が外側に倒れて小指の付け根が着きます。
このとき横足根関節がまったく動かない場合に、輪郭のはっきりしたタコが親指の付け根と小指の付け根にできます。これは地面からの衝撃を吸収できないからです。
横足根関節の動きが大きくなればなるほど、小指の付け根のタコが薄くなって最終的になくなり、親指の付け根のタコは薄く広がるようになります。またこの関節の動きが大きくなればなるほど、アーチは高くなくなり、正常なアーチになります。
3-2.母趾球部が他の指よりも下がっている足
この構造を持つ足も「3-1」と同様に、歩行中に地面に着くときに、まずはカカトが着き、続いて親指の付け根が着き、その後に足全体が外側に倒れて小指の付け根が着きます。
このとき横足根関節がまったく動かない場合には「3-1」と同様に、親指の付け根と小指の付け根にはっきりしたタコができます。これは地面からの衝撃を吸収できないからです。
横足根関節の動きが大きい足ほど、小指の付け根のタコが薄くなって最終的になくなり、親指の付け根のタコは薄く広がるようになるのは「3-1」と同じです。またこの関節の動きが大きくなればなるほど、アーチは高くなくなり正常なアーチになります。
3-3.後足部内反の足
後足部内反とは足の後ろ半分が下腿部に対して内側に曲がっている足、またはスネの骨(脛骨)が大きく曲がっている場合の足を指します。
このタイプの足のうち、距骨下関節に動きがない場合には横足根関節において、足の前半分の内側を下げて地面につけます。さらに横足根関節にも動きがない場合には、第1中足骨の先端を下げて親指側を地面につけようとします(下図左)。足はハイアーチになります。
その結果、親指の付け根と小指の付け根にタコができますが、小指の付け根のタコの方ができやすいです。
横足根関節や距骨下関節の動きが大きくなればなるほど、親指の付け根のタコがなくなり、次に小指の付け根のタコが消え、第2指の付け根にタコができるようになります。またこれらの関節が動けば動くほど、アーチは高くなくなり正常なアーチになります。
3-4.足の前半分の内側が少しだけ上がっている足
このタイプの足で距骨下関節の可動域が十分にない場合は、横足根関節を内側に倒して親指を地面に着けます。また横足根関節を動かしてもまだ親指が地面に着かないときには、第1中足骨を下げて親指を地面に着けます。足のアーチは正常です。
距骨下関節の動きが大きくなるほど、小指の付け根のタコはなくなり、その代わりに第2~4指の付け根にタコができるようになります。そして正常なアーチの足から扁平足になっていきます。