
足の親指の裏に大きなタコができている人がいます。ここにタコができるのは親指の付け根の関節が反りにくいからです。体重をかけないときには反るが、体重をかけると反らないという人もここにタコができる傾向があります。なぜ親指の付け根の関節が反らなくなるのでしょうか。またこのタコができなくなるようにするにはどうしたらいいのでしょうか。
目次
1.親指の裏側にできるタコとは
足の親指の足底面で、親指の付け根の関節に近い部分にタコができることがあります。これは親指の付け根の関節が反りにくくなり、親指にある趾節間関節が代わりに反らされるようになった結果、この部分に過剰な圧力がかかってできたタコです。
また趾節間関節の足底面側に過剰骨がまれにできることがあり、その骨からの圧力によってタコができる場合もあります。
前者は強剛母趾に起こりやすく、中には親指そのものが反り返って、浮き指の状態になっていることもあります。強剛母趾に関しては「親指が反らなくなり、蹴るときに痛みが出る強剛母趾の治し方」をご覧になってください。
2.親指の裏側にできるタコの対策
対策は強剛母趾の対策と同じです。
2-1.靴の選択
次の3つの条件を満たすものが良いでしょう。
- カカトの周り(ヒールカウンター)がしっかりしている。
- 靴自体を捻ってもあまり型崩れしない。
- 指の反る部分が硬くて、つま先が上がっているもの。
パンプスもほぼ同じ条件のものを選んでください。そのときヒールの高さは3~5センチのものを選ぶのがよいです。
上記の1と2の条件は足全体が内側に倒れ過ぎるのを防ぎます。また親指が反ると痛みが出るので、親指の反る部分が硬くなければいけません。この部分が硬いと親指が反るのを防いでくれます。ただし、この部分が真直ぐであると歩きづらいので、つま先が少し上がったものを選びます。
2-2.足底板とインソール
靴を選んだら、その中に足底板やインソールを入れます。足底板はオーダーメイド商品で、インソールは既製品です。これらは足が内側に倒れ過ぎるのを防ぎます。
2-3.特殊なサンダル
家の中で足底板やインソールを入れた靴を履くのも悪くはないですが、家の中で靴を履くことに抵抗のある方は、米国の足病医が開発した特殊なサンダルを履いておきましょう。
3.親指の裏側にできるタコの機序
3-1.過回内(かかいない)
足に捻じれやゆがみがあると、足が異常な動きをします。ここでは足の前半分の内側が上がったものを例に挙げて説明します。
このような足の捻じれは下記のようにして足を見ると分かります。
このような構造の足で、足首にある距骨下関節が十分に動く場合には、着地のときに足全体が大きく内側に倒れます。この異常な動きを過回内(オーバープロネーション)といいます。
3-2.第1中足骨の異常な動き
足全体が大きく内側に倒れると、親指の付け根にある骨(第1中足骨)が④~⑥の3つの方向に動かされます。⑥の動きが大きい場合には外反母趾になりますが、④の動きが大きい場合には強剛母趾になります。
3-3.第1中足骨と基節骨の衝突
④の動きが大きい場合には第1中足骨の先端と基節骨の間で衝突が起こります。
これが繰り返されると、だんだんこの関節が変形し、動きにくくなります。
変形まで行かなくても、この2つの骨が衝突すると、この関節で親指が反りにくくなります。
すると親指にある趾節間関節において、親指を反らす力が働きます。
ところがこの趾節間関節は、反る方向にはあまり動きません。すると基節骨に下向きの力がかかることになり、この骨の足底面の皮膚にタコができるのです。