膝が内側に入るニーイン・トゥーアウトを防止する最高の方法

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歩くとき、あるいは走るときにヒザが大きく内側に入る方がいらっしゃいます。そのときにつま先は通常以上に外側を向いています。この状態をニーイン・トゥーアウトといいます。正常な人でもわずかにニーイン・トゥーアウトするのですが、これが大きくなると様々なトラブルを起こします。従来股関節周囲の筋肉の強化などが推奨されていましたが、これは逆効果のことも少なくないのです。ここではニーイン・トゥアウトがどういうものなのか、そして股関節周囲の筋肉をいきなり鍛えることがなぜ駄目なのかを説明しています。

1.ニーイン・トゥーアウトとは

ニーイン・トゥーアウト(Knee-in, Toe-out)とは立った状態でヒザを曲げたときにヒザ(knee)が内側(in)に入り、相対的につま先(toe)が外側(out)を向くことを言います。

ヒザや足首の構造上、この動きは自然な動きで正常な足の動きの中でも起こるのですが、異常な足ではこれが程度も継続時間も過度になり、本来は起こらない場合にも起こり、様々なトラブルを起こします。

ニーイン・トゥアウト

適度のニーイン・トゥアウト(左)と過度のニーイン・トゥアウト(右)

まず足首やヒザの関節の周囲の袋(関節包)が伸ばされ、異常な動きがますます大きくなります。この異常な動きを止めようとして、足首やヒザに関係する筋肉が過剰に働かされ、時には筋筋膜性疼痛症候群きんきんまくせいとうつうしょうこうぐんを起こしたりします。

またシンスプリント、脛骨疲労骨折けいこつひろうこっせつ鵞足炎がそくえん腸脛靭帯炎ちょうけいじんたいえん膝蓋骨後部痛症候群しつがいこつこうぶつうしょうこうぐん滑膜ひだ症候群かつまくひだしょうこうぐんなどを起こす場合もあります。

2.過度のニーイン・トゥーアウトのメカニズム

過度のニーイン・トゥーアウトは足の異常な構造(ゆがみやねじれ)と大きく関係しています。 足の前半分が少し上がっているタイプの足(前足部内反ぜんそくぶないはん)を考えてみましょう。カカトから着地したあと、足の裏全体を地面に着けるためには、カカトを大きく内側に倒さなければなりません。

過回内

足の変形が過回内(オーバープロネーション)を起こす。(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p9)

このとき、足首付近にある距骨下関節きょこつかかんせつを構成する距骨と踵骨がどのように動くのかを見てみましょう。

距骨下関節

距骨(黄色)と踵骨(緑色)の2つの骨で構成されている距骨下関節

カカトを大きく内側に倒したときに距骨と踵骨は3つの動きをします。
①距骨の前部は後部よりも通常以上に下がる。
②距骨は通常以上に内側に回転する。
③踵骨は通常以上に内側に倒れる。
この動きを距骨下関節きょこつかかんせつ過回内かかいないと言います。距骨下関節きょこつかかんせつ回内かいないは地面からの衝撃を吸収する働きをするのですが、これが大きすぎる(過回内)と問題が生じるのです。

この距骨下関節きょこつかかんせつの過回内に伴って距骨きょこつの上に載っているスネの骨(脛骨けいこつ)を含む下腿かたい(ヒザと足首の間)は3つの動きをします。
④下腿は通常以上に前に倒れる。
⑤下腿は通常以上に内側に回転する。
⑥下腿は通常以上に内側に倒れる。

距骨・踵骨・脛骨の動き(1)

距骨・踵骨・脛骨の動き(1)

 

距骨・踵骨・脛骨の動き(2)

距骨・踵骨・脛骨の動き(2)

 

その結果ヒザは通常以上に内側に位置するようになります(ニーイン)。

また距骨下関節きょこつかかんせつの過回内によってつま先の向きは通常以上に外側を向くようになります(トゥーアウト)。結果としてヒザとつま先は通常とは大きく異なる方向を向くようになります。

前足部外転

前足部(足の前半分)が外側を向く。

3.過度のニーイン・トゥーアウトの対策

過度のニーイン・トゥーアウトを防止することは、一般の方々はもちろんのこと、特にスポーツを行っている方々にとっては大変重要なことです。多くのスポーツ障害が「距骨下関節きょこつかかんせつの過回内」に始まる「過度のニーイン・トゥーアウト」と大いに関係があります。また過度のニーイン・トゥーアウトが存在すると、スポーツ障害まで行かなくてもスポーツを行う上でのパフォーマンスの低下が避けられません。何とかしてこれを防がなければなりません。

殿部(おしり)などの筋肉を鍛えて、過度のニーイン・トゥーアウトを防止するという考え方もありますが、それにも限界があります。なぜならば距骨下関節きょこつかかんせつの過回内には筋肉はあまり関与していないからです。このことは「筋肉が弱るのが外反母趾の原因だというのはまったくの間違い」で説明しています。

さらに言うならば、距骨下関節きょこつかかんせつの過回内が起こるとスネ、フクラハギ、フトモモの前後、さらに殿部(オシリ)の筋肉が過剰に使われ過ぎで弱ることがあります。そして過剰に使われ過ぎて弱ったその筋肉を鍛えようとすると、ますます弱ってしまうことがあります。こういう場合はその筋肉をマッサージして和らげ、その後にストレッチをすることが大事です。

つまり過度のニーイン・トゥーアウトのある方は、距骨下関節きょこつかかんせつの過回内の対策をすることが最も重要なことになるのです。これを行った上で各種のマッサージとストレッチを行って下さい。そして硬くなっていた筋肉が柔らかくなってから、筋肉を鍛えるトレーニングを行ってください。

3-1.靴の選択

距骨下関節きょこつかかんせつの過回内の防止でまず必要なことは靴の選択です。足のサイズに合った靴で構造的にしっかりしたものを選んで下さい。日常的に履く靴ならばニューバランスのウォーキングシューズがお勧めですが、アシックスやミズノにもすばらしい靴があります。できるだけ信頼のおけるシューフィッターの方にアドバイスをしてもらいましょう。また各種スポーツを行っている方々は、スポーツで使用する靴も慎重に選んで下さい。
靴の選び方に関する詳しい情報は「外反母趾の人生をバラ色にするシューズ選びの3つのポイント」をご覧になってください。

ウォーキングシューズ

ウォーキングシューズ

 

3-2.インソールと足底板

構造的にすぐれた靴を選んだら、その中にインソール(既製品)や足底板(オーダーメイド)を入れましょう。これによって足の捻じれの影響を最小限に抑えることができます。後足部(足の後ろ半分、カカト)の捻じれに問題がある場合にはインソールでも足底板でもよいのですが、前足部(足の前半分)に問題がある場合には足底板を使わなければ捻じれの影響は抑えづらいです。

インソール

ウォーキングシューズ用インソール

 

足底板

足底板(オーダーメイド)

 

仕事上でパンプスを履かざるを得ない方はヒールの高さが3~5センチのものを選んで、その中にインソールや足底板を入れて下さい。特にXO脚のある方は靴や中敷きに対する配慮が大事です。
パンプスの選び方に関しては「ハイヒールのパンプスが女性に及ぼす6つの悪影響とその対策」で詳しく書いています。

インソール

パンプス用インソール。

 

3-3.特殊サンダル

日本の生活環境では、自宅で靴を履くことは難しいものです。しかし靴を脱いでしまったら靴やインソールや足底板で最小限に抑えていた距骨下関節きょこつかかんせつの過回内が再び起こるので、何かしらの対策が必要です。そこで当院ではアメリカの足病医が開発した特殊なサンダルをお勧めしています。

特殊なサンダル

特殊なサンダル

以上を読まれた方は、日常履く靴、スポーツシューズ、足底板、特殊サンダルというふうに準備しなければいけないものが多くて驚かれるかもしれません。しかし距骨下関節きょこつかかんせつの過回内は足に捻じれのある人が一歩一歩足を出すたびに起こっているのです。

そのたびに関節を構成している靭帯や筋肉や軟骨や骨に通常以上にストレスがかかっているのです。一歩一歩はわずかでも積り重なれば大きな影響を持ちます。岩に落ちる水の一滴一滴がやがてその岩を大きくえぐるように、足の捻じれによる一歩一歩の影響も私たちのからだに大きなダメージを与えます。

一歩一歩を大事にすることが、スポーツ障害を抑制し、スポーツのパフォーマンスを向上させ、その人のスタイルを良くし、健康なからだを作り上げるのです。しかも上記のものを使えば特に意識しなくても一歩一歩が正常に近いものになります。どんなことでも意識しなくてもよいことでなければ、継続させることはなかなか難しいもの。そういう意味でここに挙げた商品は、皆様が特に意識しなくても長期にわたって足を守ってくれる素晴らしいものなのです。

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