
後脛骨筋は足首の内側を走っている筋肉であり、足の内側縦アーチを安定化させています。この筋肉に炎症や断裂が起こると、もはや足の内側縦アーチを安定化することができなくなります。初期には骨と靭帯によってアーチは保たれていますが、やがて靭帯が伸び、骨の位置関係が変わってしまいます。最終的には内側縦アーチが崩れて扁平足を呈し、足部の痛みや機能障害が現れます。
目次
1.後脛骨筋腱機能不全症とは
後脛骨筋腱に繰り返し負荷がかかって後脛骨筋腱に部分的に断裂が起こり、歩行時のアーチを支える力が弱まると、骨と骨の間に張っている靭帯が伸び、やがて外反扁平足の状態になります。これを後脛骨筋腱機能不全症(PTTD)といいます。
さらに進行すると後脛骨筋腱が断裂し、強度の外反扁平足になり、距骨下関節の変形性関節症などを起こすこともあります。また外反母趾も伴います。体重や運動量の増加によって引き起こされやすく、中高年の女性に多い疾患です。
2.後脛骨筋腱機能不全症の症状
- 内くるぶしの後方から、内くるぶしの斜め前下方にかけて後脛骨筋腱に沿った痛みや腫れが見られます。
- 後脛骨筋腱を押すと痛みがあり、足に体重を載せたり、つま先立ちをすることが困難になります。
- 痛みは最初は足の内側ですが、やがて足の外側や足の裏にも出るようになります。
- 立った時にカカトの骨が内側に倒れ、前足部(足の前半分)が正常な時よりも外を向くようになるため、後ろから見ると本来見えない第5指や時には第4指が見えることもあります。これを「too many toeサイン」といいます。足の指があたかも6本以上あるかのように見えるため、この名前が付いています。
3.後脛骨筋腱機能不全症のメカニズム
前足部(足の前半分)が少し上がった足のように、過回内を起こしやすい足に見られます。
着地するときにはまずはカカトが接地し、足全体が内側に倒れて足の裏全体が地面に着きます。この内側に倒れる動きを回内といいます。後脛骨筋には回内を減速させる働きがありますので、過剰な回内(過回内)が起こるとこの筋肉が働かされ過ぎます。そのためこの筋肉や筋肉の腱へ大きな力がかかるようになります。これが繰り返されると、腱が部分的に断裂し、やがて完全断裂へと進行します。
4.成人期扁平足
4-1.成人期扁平足とは
成人期扁平足は中年以降の女性に多く、縦アーチがつぶれてきて痛みが出る疾患です。原因は体重の増加、血行障害、加齢に伴う筋力の低下などです。
4-2.成人期扁平足の症状
- 初期の症状は内くるぶしが痛み、少し腫れているくらいですが、進行すると内くるぶしが飛び出してきます。
痛みはやがて足の外側や足の裏にも出るようになります。 - また足の動きが悪くなり、正座もできにくくなります。
- 片足のつま先で立つと内くるぶし付近に痛みが出ます。これは単に足がむくんでいる場合とこの疾患の初期である場合とを区別するのにテストとして使われます。足がむくんでいる場合は痛みが出ません。
4-3.成人期扁平足対策
成人期扁平足は後脛骨筋腱機能不全症は同じであると考えてよいです。したがって両者の治療法は同じです。
5.後脛骨筋腱機能不全症対策
- 初期の場合は安静にしておくことです。そして消炎鎮痛薬の投与や固定が必要です。
- 固定の時期が終わったら足底板療法が効果があります。これを使うことによって過回内を防ぎ、後脛骨筋腱に負担がかからないようにします。
- 進行すると保存療法では効果がない場合もあり、その時には手術が必要となります。医師のアドバイスをしっかりと受けましょう。
(注)初期には足底板療法が有効ですが、その前に構造的にすぐれた靴を履くことが大事です。靴の構造が悪いと、足底板の機能を十分に発揮することができません。

手術を除くと外反母趾には足底板を入れるのがベスト
後脛骨筋の負担を少なくするために家の中では特殊なサンダルを使うのもよいことです。
下の写真は米国の足病医が考案したサンダルです。
アメリカ足病医考案の
特殊なサンダル
という物の商品名と購入方法を教えて下さい。
依田様。コメントありがとうございます。
相談・予約のフォーム(http://www.gaihan.com/contact)からお問い合わせくださいましたら、購入方法をお知らせいたします。
その際に足のサイズをお書き下さい。よろしくお願いいたします。