
履物の選び方一つで身体の調子やスタイルが変わるのはよく見られることです。もちろん短期間ではその違いに気づきにくいこともありますが、長い時間が経つとその変化に気づきます。ここではウエストを引き締め、スタイルを良くするパンプス選びについて書いてみます。選ぶときに基準とすることはいくつかありますが、今回は特に重要なヒールの高さについてお話します。また見当違いの施術をされていることが多い、足の甲の痛みについても述べてみました。(メルマガ2015年12月19日号)
目次
1.スタイルを良くするパンプスのヒールの高さ
履物ひとつで体調が変わるというと、そんな大げさな、と思われる方も多いと思います。
が、これは事実なのです。
筆者自身も以前は年に2回ほどギックリ腰を起こし、
かつ長時間歩くと左ヒザの痛みをたびたび感じていましたが、
履物をウォーキングシューズに変え、それに足底板を入れてから
それらのトラブルとはいっさい無縁になりました。
ここでは女性の履物としては比較的多いと思われるパンプスのヒール高について触れてみようと思います。
パンプス選びに苦労されている女性の方が多いからです。
足やヒザや腰にトラブルを抱えた方はパンプスではなく、
ウォーキングシューズを履いた方がいいのですが、
仕事の上でそうも言っていられない方がたくさんいらっしゃいます。
ではどういうパンプスを選んだらよいのでしょうか。
今回はとくにパンプスのヒールの高さについて述べましょう。
ヒールの高さの理想的な限界は標準的な日本人で約3~5センチです。
もちろん身長によってはそれ以上あるいはそれ以下となる場合もあるでしょう。
1-1.異常な体重移動
このヒールが高すぎるといろいろと厄介なことが起こります。
まずは足裏での体重の移動がおかしくなります。
正常な歩行ではカカトが地面に着いたあと、
足の外側から小指の付け根が地面に着き、
それから親指の付け根が着いて、
親指・第2指・第3指で蹴り出します(右の写真)。
ところがヒールが高すぎるとカカトが地面に着いたのち、
親指の付け根と小指の付け根がほぼ同時に着地します。
この足部の異常な動きは
スネ、ヒザ、フトモモ、腰、背骨、首の異常な動きにつながります。
1-2、フクラハギの異常な発達
次にフクラハギが大きくなります。
ヒールが高いということはつま先立ちをしている状態になるので、
いつもフクラハギの筋肉が緊張している状態になっています。
やがてたくましいフクラハギへと成長していきます。
たんに筋肉が発達しているだけならばよいのですが、
やがて血行が悪くなり、硬い筋肉となって、その働きも悪くなります。
1-3.フトモモの前面やオシリの異常な発達
またつま先立ちでは同時にヒザが伸びますので、
フトモモの前面にある筋肉が緊張して発達します。
さらにオシリの筋肉にも大きな力が働きます。
これらの筋肉も働かされすぎると、
硬くなってしまい、機能的にも衰えるのです。
人によってはヒールが高すぎると
ヒザを曲げてバランスを取ろうとします。
すると今度はヒザを曲げた状態に保持するのに
フトモモの前面の筋肉が使われすぎるのです。
この状態が続くとやはり筋肉が弱ってきます。
1-4.ウエストを引き締める筋肉の未発達
さらにはハイヒールで歩くと歩幅がせまくなります。
ということは骨盤の左右への回旋が少なくなりますので、
ウエストを引き締める「おなか」の横の筋肉が働きにくくなります。
ヒールはせいぜい3~5センチで止めておきましょう。
そしてからだにやさしいパンプスを選んで下さい。
2.足の甲の痛みがなくなった
当院のホームページは「足の甲の痛み」で検索して
訪れて下さる方がもっとも多い状態です。
そういう方で施術を受けにいらっしゃって下さる方が
先週も何人かいました。
足の甲が痛いと、足の甲に問題があると思いがちですが、
ほとんどはスネにあります。
スネにある筋肉が硬くなっていることが多く、
その筋肉が痛みを出していることがほとんどです。
これは前脛骨筋や長指伸筋いう名前の筋肉などで、
足首を反らすはたらきをするので、
これが硬くなると足首が伸びません。
正座をすると足首の前面や足の甲に痛みが走ります。
こういう方はベッドやイスの上に正座をした後で、
足首から先をベッドやイスの端から出した状態で正座をしてみて下さい。
すると痛みが出なくなることが多いはずです。
これが確認できたら、硬くなったスネに対する施術をすればよいです。
ただこのスネの筋肉が硬くなりやすい方は
足首から先の動きがおかしい場合が多いですので、
よい構造のクツに足底板を入れることをお勧めします。
先週いらっしゃった足の甲に痛みを抱える患者様たちも笑顔でお帰りになりました。
足の甲の痛みはそんなに施術が難しいものではありません。
信頼できる施術家に相談して下さい。
足の甲の痛みに関しては「足の甲の痛みは脛(スネ)の筋肉に問題があることが最も多い」で詳しく解説しています。
3.足底板
日本はクツの文化が西欧諸国に比べて長くないのが原因なのでしょうか、
足底板を使うということが、欧米ほど広がっていません。
足底板を使えばずいぶん楽になりますよ、と言っても、
関心を示さない方が少なからずいらっしゃいます。
足底板、特に足病学の理論に基づいて作成された足底板は
ほんとうにすばらしい変化をからだに与えてくれます。
もちろん足底板ですべてのトラブルが解決するとは限りませんが、
足底板を使っていただくと多くの方がすばらしいものであることを
認識して下さいます。
もし何かのトラブルを抱えていらっしゃいましたら、
ぜひご相談下さい。
足底板について詳しく知りたい場合は「外反母趾の痛みを劇的に改善するクツの中敷き(インソール)」をお読みください。