
痛みを感じる場所に原因がないことはよくあります。たとえば心臓が悪いときに左腕に痛みを感じるのは比較的知られています。こういう痛みを関連痛といいますが、筋肉にも関連痛があり、これが多くの骨格の痛みはこの関連痛が正体ではないかとも言われています。今回は足の甲や外クルブシに出た筋肉の関連痛について述べたいと思います。
1.足の甲に原因のない足の甲の痛み
足の甲が痛いと足の甲が悪いと思ってしまいます。
しかし必ずしも足の甲に原因があるとは限りません。
いや、当院にご来院される方の場合は
足の甲に原因がないことの方が多いようです。
前々回は「カカトに原因がないカカトの痛み」について書きましたが、
今回は「カカト」が「足の甲」に変わっただけです。
※前々回の記事は「足のトラブルには足底板を/カカトに原因がないカカトの痛み」をご覧になってください。
前々回はフクラハギにある「ヒラメ筋」という名前の筋肉が、
カカトに痛みを出す話をしました。
ヒラメ筋が「筋筋膜性疼痛症候群」という状態になると、
トリガーポイントというものができて、色々なところに痛みを出します。
カカト、フクラハギ、腰、アゴ等です。
今回はどこかの筋肉が足の甲に痛みを出しているケースです。
どの筋肉でしょうか。ある筋肉のトリガーポイント図を見ていただきましょう。。
足の絵が3つ並んでいますね。
真ん中の絵には、少し分かりづらいですが、2つの筋肉が描かれています。
ひとつは親指を反らす「長母指伸筋」で、
もうひとつは第2~5指を反らす「長指伸筋」です。
×印が付いているところに痛みの原因となる部分が出るのですが、
どのようなところに痛みが出るかと言うと、
「長母指伸筋」は右の絵の赤い部分、
「長指伸筋」は左の絵の赤い部分に痛みを出します。
この痛みを取り除くためには、
上記の筋肉をマッサージとストレッチでゆるめると良いです。
鍼治療とストレッチでも良いでしょう。
また足に捻じれがある場合にはこれらの筋肉に負担がかかりやすいので、
構造的・機能的にすぐれた靴に
構造的・機能的にすぐれた足底板を入れておくとよいでしょう。
改善のスピードを上げたり、再発を防いだりすることが期待できます。

完成した足底板をクツに装着する。
2.悪くないのに外クルブシが痛む
「悪くないのに外クルブシが痛む」というと
誤解される方がいらっしゃるかも知れません。
どこも悪くないのに痛みが出る訳ないじゃないかと。
もちろんそうですが、ここで言おうとしているのは
「外クルブシが悪くないのに、外クルブシが痛む」
ということです。
外クルブシやその周辺に痛みを感じる人は当院によくいらっしゃいます。
この痛みも筋肉に由来することがよくあります。
どの筋肉でしょうか。
また別の筋肉のトリガーポイント図を見ていただきましょう。
中央の絵には3つの筋肉が描かれています。
これらの筋肉をまとめて腓骨筋群といいますが、
これらが「筋筋膜性疼痛症候群」という状態になると、
外クルブシとその周辺に痛みを出します。
このグループの筋肉をマッサージや鍼治療などでほぐし、
さらにストレッチを行なってゆるめると、症状が改善します。
これらの筋肉は足の捻じれと深い関係がありますので、
よい靴とよい足底板を使って
足の捻じれの影響を少なくすると、
症状が改善しやすく、また再発もしにくくなります。