
子どもが転びやすい場合はスネにある筋肉が弱っていることが多いです。しかも使わずに弱ったのではなく、使われ過ぎて弱ったのです。こういう子どもの足の構造を診ると、捻じれやゆがみが見られます。捻じれやゆがみがあると、足が地面に着くときや蹴り出しのときにスネの筋肉が使われ過ぎてしまうのです。(メルマガ2016年10月15日号)
1.なぜ転びやすいのか
子どもが転びやすい場合は、
いちど医師にかかることをお勧めいたします。
脳腫瘍や目・耳の病気で転びやすいことがあるからです。
しかし医師にかかっても
まったく異常が見られないことがあります。
こういう場合は足首を反らす筋肉が弱っていることが多いです。
スネには足首を反らす筋肉があります。
この筋肉は足首を反らすだけではなくて、別の働きもあります。
それは着地するときに、
足の裏がいきなり地面にバタンと着かないように、
ブレーキをかけながらゆっくりと足を下ろしていく働きです。
足の構造に大きな異常がない人には、
別に困ったことが起きませんが、
足に「ねじれ」や「ゆがみ」があると、
この筋肉は足にブレーキを強くかけなければならなくなります。
この状況が続くと、この筋肉は弱ってしまいます。
そうすると足首を反らす力も弱くなります。
右足で地面を蹴ったときのことを考えて下さい。
蹴った後で右足は左足を通り過ぎて前に出ます。
このとき右ヒザを上げるとともに、
右足首を反らすのですが、
右スネの筋肉が弱っていると、
右足首を反らすことができにくいので
右足先が地面に当たります。
すると転倒してしまうのです。
2.転びやすい子どもはどうすればいいか
2-1.足底板
足に「ねじれ」や「ゆがみ」があるというのは
どういうことなんでしょうか。
みんな顔が違うように、
ひとりひとりの足の構造も違っています。
たとえば足の前半分の内側が上がっている人がいるかと思えば。
足の前半分の外側が上がっている人もいます。
こういうのを私は足のねじれ・ゆがみと呼んでいます。
医学的には「変形」という言葉が使われることもあります。
前者は着地するとき(下図)に、後者は地面を蹴るときに
カカトが大きく内側に倒れる傾向があります。
とくに前者はスネにある筋肉が疲労しやすいのです。
このカカトが大きく倒れる動きを補正してやればいいのです。
どうやって補正するかというと、足底板を使うのです。
この足の「ねじれ」や「ゆがみ」は遺伝的な傾向が強く、
たとえ筋肉を鍛えても矯正することは難しいです。
ですから「矯正」を行なうのではなく、足底板で「補正」するのです。
足底板を使えば、この異常な動きを防ぐことができます。
が、これだけでは十分ではありません。
2-2.筋肉に対する施術
すでに弱くなっているスネの筋肉が残っています。
これをいきなり鍛えようとしてはダメです。
まずはスネの前の筋肉をマッサージします。
お風呂に入って温めてからマッサージすると一層効果があります。
子どもさんに自分でやってもらってもいいし(下の写真)、
お母さん、お父さんがやってあげてもいいです。
マッサージが終わったらストレッチを行ないます。
正座をすればこの筋肉がストレッチされます。
このマッサージとストレッチを毎日繰り返して
スネの筋肉を軟らかくして下さい。
十分にスネの緊張が取れたら、
走る練習をしたらいいです。
そのときには靴の中に必ず足底板を入れておいてください。
これで多くの子どもさんが転倒しなくなりました。
また走る姿勢や歩く姿勢も良くなっています。
スネのマッサージやストレッチについては
「足の甲の痛みは脛(スネ)の筋肉に原因があることが最も多い」に詳しく書かれています。