
歩いている時に足の親指の付け根が痛むという方はとても多いです。みんな靴を変えてみたり、シップを貼ってみたり、整骨院やマッサージに通ってみたりしますが、なかなか改善しません。なぜ親指の付け根が痛むのでしょうか。
ここで注意しなければいけないのは、一口に「親指の付け根の痛み」といっても2種類あるのです。これらは似てはいますが、はっきりと区別しなければいけません。なぜならば対処の仕方がかなり違うからです。まずはその2種類を区別してみましょう。(メルマガ2017年9月30日号)
1.親指の付け根の痛みのひとつ目は外反母趾
足の親指の付け根が痛いという患者様はよくいらっしゃいます。
この痛みには2つの種類があります。
ただし、痛風のような内科系のものは除きます。
ひとつは外反母趾の痛みで、
親指の付け根の内側が痛みます。
裸足で歩いているときは痛みがありませんが、
靴を履いて歩くと
親指の付け根の内側が靴で圧迫されたり、
靴と擦れたりして痛みが出ます。
この痛みは構造的に優れた靴と
機能的に優れた足底板で比較的簡単に取り除くことができます。
2.もうひとつの原因は強剛母趾・制限母趾
もうひとつの痛みは制限母趾や強剛母趾の痛みです。
これらの痛みは親指の付け根全体に出ます。
制限母趾というのは親指を反らすと
ある角度から痛みが出始めるものです。
つまり痛みで足を反らす動きが制限されている状態です。
この制限母趾がひどくなると強剛母趾という状態になり、
少しでも親指を反らそうとすると痛みが出るようになり、
親指に体重をかけて歩くことができなくなります。
そこで小指側に体重をかけて歩きます。
この制限母趾や強剛母趾になると
家の中で歩くときにも痛みが出ます。
靴を履いて歩いた時には、
靴が反りにくい分だけ痛みを感じにくくなる場合があります。
しかし靴を履いても親指を使って歩けない人もいます。
この痛みは通常の靴では痛みが取れません。
指の付け根に相当する靴の部分が、
硬くて反りにくいものを選ばなければいけません。
そしてその中にしっかりした足底板を入れて
足が内側に倒れないようにするべきです。
内側に倒れると親指が反りにくくなるからです。
3.いつまで足底板を使わなければいけないのか
で、いつまでこのような靴と足底板を使ったらよいのでしょうか。
1年なのか、5年なのか、それとも症状が取れるまでなのか。
それは「一生」です。
視力の悪い人が一生メガネやコンタクトレンズを離せないように、
外反母趾はもちろん、強剛母趾や制限母趾の人も
足底板を手放すことはできません。
しかし何とか別のよい治療方法(手術以外の)がないものか、
あなたは探し回るでしょう。
もしかしたら世の中にはあるかもしれません。
しかしそれを探し当てるまでにも
足はどんどん悪くなっているのです。
外反母趾の調査をすると年齢が上がるほど
外反母趾になっている人の数が増えています。
それだけではなく、程度もひどくなっているのです。
構造的・機能的に優れた靴と足底板を使わないでいるうちに、
足の骨同士を結び付けているスジ(靭帯、じんたい)が
どんどん伸びていっているのです。
そして一度伸びてしまうと、
それを元に戻すことはできなくなります。
そのスジのゆるんだ足の影響は
親指だけではなく足全体に、
さらには膝や腰や首にも悪い影響を及ぼすのです。
ですから一日も早くきちんとした構造の靴の中に、
足底板を入れて生活をしなければいけません。
これは時間との勝負なのです。