
本当は外反母趾ではないのに、外反母趾であると勘違いされて施術を受けている人がよくいます。テーピングやマッサージを続けていてもなかなか痛みが取れない。しかも親指の付け根の側面ではなく、親指の付け根全体に痛みが出る・・・。こんな場合は強剛母趾(きょうごうぼし)を疑ってみなければいけません。
強剛母趾は親指を反らすとその付け根全体に痛みが出るのが特徴で、外反母趾と発生機序は似ているものの、少し違った対処が必要です。それについて解説しましょう。(メルマガ2017年11月1日号)
1.強剛母趾はマッサージだけでは駄目
前回は外反母趾と間違いやすい「強剛母趾(きょうごうぼし)」について書きました。
外反母趾と強剛母趾ははっきりと分けて考えなければいけません。
強剛母趾にテーピングやマッサージをしても無駄に終わることが多いのです。
私は平成8年ごろから足の施術を続けていますが、
強剛母趾と外反母趾の施術ははっきりと区別しないと、
患者さんに精神的にも、肉体的にも、経済的にも負担がかかることが分かりました。
外反母趾に貼るテーピングを強剛母趾の人に貼るとどうなるのでしょうか。
強剛母趾は親指の付け根で、2つの骨が衝突して変形を起こしています。

親指の付け根で2つの骨が衝突する
ですから外反母趾に貼る、指を開くテーピングを強剛母趾に貼ると
ますます2つの骨同士が衝突してしまうのです。
また親指の周囲の筋肉や靭帯をマッサージしても、
この2つの骨の衝突を避けることができません。
強剛母趾の痛みはマッサージによって一時的に緩和する場合もあるのですが、
2つの骨の衝突は続くので、マッサージだけではほとんど意味がありません。
2つの骨が衝突するのを防ぐ、あるいは抑制することを行わない限り、
根本的に強剛母趾の問題は解消されないのです。
ではどうすればよいのでしょうか。
2.すぐに足底板を入れるべき
その前になぜ親指の付け根で2つの骨が衝突するのでしょうか。
これは「足病学(そくびょうがく)」を学べばすぐに分かることなのです。
ただこの学問は正式には日本に入ってきていないので、
一般的には外反母趾や強剛母趾のメカニズムがあまり知られていないのです。
話を元に戻しましょう。
なぜ2つの骨が衝突するのかというと、足自体が内側に倒れ過ぎるからなのです。
この異常な動きを過回内(オーバープロネーション)といいます。
足が内側に倒れ過ぎると、親指の付け根で2つの骨が衝突しやすくなるのです。

足の変形が過回内(オーバープロネーション)を起こす。(Pod Mech vol.2. 株式会社インパクトトレーディング, 2006, p9)
ですから足が内側に倒れ過ぎないような処置が必要となります。
そのためには構造的にしっかりした靴の中に、
その人の足のゆがみを補正するような「足底板(そくていばん)」を入れなければいけません。
また靴も親指の付け根に相当する部分が、
硬くて反りにくいものを選んだ方が、歩くときに痛みが出にくいのです。
マッサージが駄目だということではないのですが、
強剛母趾の方は何よりも早く、
構造的に優れた靴と、機能的に優れた足底板を使うことが必要です。
強剛母趾に関しては下記を参考にしてください。